改訂新版 世界大百科事典 「ミノボロ」の意味・わかりやすい解説
ミノボロ
(prairie) Junegrass
Koeleria cristata (L.) Pers.
草原にたまに見かけるイネ科の多年草。茎と葉は密に叢生(そうせい)して株を作り,全体に短い白毛に覆われている。芒(のぎ)は細いが硬く,高さは30~50cm,花序下に特に毛が多い。葉は細い線形で,長さは10~20cm,幅は3~5mm,やや硬く,多少内巻きとなり,鞘の上部を除いて短い軟毛がある。5~7月に茎の頂につまって穂状に見える密な円錐花序をつけ,その長さは5~13cm,径1~1.5cm,銀白色をしている。小穂は長さ4~5mm,2個の苞穎(ほうえい)と3~4個の小花はほとんど等長で,芒はない。ユーラシア大陸と北アメリカの温帯に広く分布し,アメリカ合衆国のプレーリーに多い。日本では北海道から九州までの山中や平地の草原にときどき見られるが,大井次三郎はその大部分はヨーロッパからの帰化と見ている。良質の牧草として利用される。同属で小穂に芒のあるミノボロモドキはヨーロッパからの帰化植物で,1932年に初めて横浜で採られた。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報