ムカデエビ類(読み)ムカデエビるい(その他表記)remiped

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムカデエビ類」の意味・わかりやすい解説

ムカデエビ類
ムカデエビるい
remiped

ムカデエビ綱 Remipediaに属する甲殻類総称体長 1.5~4cm。ムカデ(→ムカデ類)を思わせる細長い体型で,丸い頭胸部(頭部胴部第1節)と最大 40節からなる胴部(胸部+腹部)からなる。頭部の下面には 2対の二叉型触角があるが,眼はない。各胴節はほぼ同じ形態(同規的体節制)で,オールのような二叉型付属肢(胴肢)が 1対ずつある。現生種はカリブ海カナリア諸島,西オーストラリアからムカデエビ目 Nectiopodaに属す 3科 24種が知られ,陸水と海水が流入する沿岸洞窟(アンキアライン洞窟)中に生息する。このような洞窟では比重の軽い淡水は上部に,重い海水は下部に分かれるが,ムカデエビ類は胴肢をゆっくりと動かして海水層を浮遊,遊泳している。雌雄同体で,雌性生殖孔が第7胴肢の,雄性生殖孔が第14胴肢の基部の節(原節)にある。ノープリウス幼生として孵化し,しだいに体節数が増えていくが,詳細な繁殖生態や生活史は不明である。胴部が典型的な同規的体節制を示すことから原始的な甲殻類として注目されるが,大顎の後ろに把握型の小顎 2対と顎脚 1対をもつことや胴肢が葉状でないことなど,やや特化した特徴ももっている。化石種(→化石)は 20種ほど知られ,今日の隔離分布中生代テチス海とその後の大陸移動(→大陸移動説)と関連があるとする仮説が提唱されている。(→節足動物

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む