ムコ多糖症(読み)ムコタトウショウ

デジタル大辞泉 「ムコ多糖症」の意味・読み・例文・類語

ムコたとう‐しょう〔‐タタウシヤウ〕【ムコ多糖症】

遺伝的な先天性代謝異常症の一つ。遺伝子の異常により体内酵素代謝機能が損なわれ、ムコ多糖が蓄積し、臓器肥大や機能障害などの障害が生じる進行性の小児難病で、小児慢性特定疾患に指定されている。細胞質ライソゾームにある加水分解酵素の先天的欠損により起こるライソゾーム病指定難病)の一種で、ムコ多糖分解酵素の欠損により生じる。欠損する酵素により七つの型に分類される。骨髄移植による治療が行われてきたが、酵素補充療法が開発され、日本では平成22年(2010)現在、1・2・6型の治療薬の製造販売が承認されている。MPS(muco-polysaccharidosis)。

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六訂版 家庭医学大全科 「ムコ多糖症」の解説

ムコ多糖症
ムコたとうしょう
Mucopolysaccharidosis
(遺伝的要因による疾患)

どんな病気か

 前述したリソソーム代謝異常症のひとつで、ハーラー症候群、ハンター症候群など6病型が知られています。

症状の現れ方

 一般的な症状として、特異な顔貌(がんぼう)、関節拘縮(こうしゅく)、骨変形、巨舌(きょぜつ)肝脾腫(かんひしゅ)、心障害、角膜混濁(かくまくこんだく)聴力障害、知能障害などが知られていますが、病型により異なります。重症型と呼ばれるものほど、低年齢で急速に進行します。

治療の方法

 対症療法に加え、骨髄移植や欠損酵素の補充療法が行われる場合もあります。

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内科学 第10版 「ムコ多糖症」の解説

ムコ多糖症(脂質代謝異常症、糖蛋白代謝異常症、ムコ多糖症)

(3)ムコ多糖症(mucopolysaccharidosis:MPS)
 グリコサミノグリカンの分解代謝が障害され,ムコ多糖(デルマタン硫酸ヘパラン硫酸ケラタン硫酸など)が神経系や結合組織に蓄積するライソゾーム病である.障害される酵素により特異的なムコ多糖が組織中に蓄積し,尿中に分泌される.Ⅱ型だけがX染色体連鎖劣性遺伝で,ほかの型はすべて常染色体性劣性遺伝をとる.
 従来は骨髄移植が行われてきたが,近年,ムコ多糖症Ⅰ型,Ⅱ型,Ⅵ型では酵素補充療法が行われ効果を上げている.[宮嶋裕明]
■文献
Peroxisomes & Lysosomal enzymes. In: The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 7th ed(Scriver CR, Beaudet AL, et al eds), pp2287-2882, McGraw-Hill, New York, 1995.
Genetic diseases of the CNS. In: Merritt’s Neurology, 12th ed (Rowland LP, Pedley TA, eds), pp614-632 & 646-650, Lippincott Williams & Wilkins, New York, 2009.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムコ多糖症」の意味・わかりやすい解説

ムコ多糖症
むこたとうしょう
mucopolysaccharidosis

ムコ多糖の分解に必要な酵素が生まれつき不足しているために、全身の細胞内にムコ多糖が蓄積し、種々の障害が引き起こされる先天性の代謝異常。略称MPS。

[編集部 2021年10月20日]

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