改訂新版 世界大百科事典 「ムーランの画家」の意味・わかりやすい解説
ムーランの画家 (ムーランのがか)
Maître de Moulins
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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生没年未詳。フランスの画家。1480~1500年ごろ中部フランスで活躍。ブルボン公の注文によるモニュメンタルな代表作、ムーラン大聖堂の三連祭壇画(1498ころ)にちなんでこうよばれる。この画家を比定する試みとして、ジャン・ペレアルJean Perréalやジャン・プレボーJean Prévostの名があげられたが、様式的類似から『エッケ・ホモ』(ブリュッセル王立美術館)に署名を残すネーデルラント出身のジャン・エイJean Heyとする説が近年有力である。この画家の作品とされる作品は数点現存するが、初期作品の『ロラン枢機卿(すうききょう)の降誕図』(1480ころ、オータン、ロラン美術館)などに、ヒューホ・ファン・デル・グースからの明らかな影響がみられ、写実的な細部描写や図像にネーデルラント絵画の伝統を示す。一方、明快な構成と単純化された形態の表現はジャン・フーケに通ずるフランス的特徴である。フーケの芸術を受け継ぐ、15世紀後半のフランスにおけるもっとも際だった画家の1人である。
[保井亜弓]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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