日本大百科全書(ニッポニカ) 「モノドラマ」の意味・わかりやすい解説
モノドラマ
ものどらま
monodrama
たった一人の俳優が演ずる演劇、一人芝居。この意味では、古代ローマのパントミモスにその例がみられ、下っては18世紀後半ドイツに俳優・劇作家ブランデスが出て流行する。音楽の伴奏で合唱隊が大筋を物語り、俳優が身ぶりによるパントマイムで視覚化していくのが一般であった。しかし、今日いうところのモノドラマはもうすこし内面性を重視し、一人の人物の心理的変化を克明に描き出すドラマをさす。こうしたモノドラマ論に影響を与えた人に、20世紀初頭のロシアの詩人エウレイノフがいる。彼は、登場人物の内的体験を観客が深く自らの体験とすることを演劇の本質とみなし、モノドラマこそ演劇の本来的あり方だと論じた。
[高師昭南]