ベルギー南部,エノー州の州都。フラマン語名はベルヘンBergen。人口9万1083(2005)。ブリュッセル南西方約60kmに位置。二つの運河の合流点にあたり,ブリュッセル・パリ間の自動車道路に沿う。19世紀以来都市化の進んだ石炭鉱業地帯の行政の中心地で,食品工業なども盛ん。平野に突き出た小山にあり,モンスもベルヘンも〈山〉を意味する。古代ローマ期に城砦が置かれて以来,周辺地域の中心地となる。中世にはエノー伯領の首都として,城砦と伯に保護されたサント・ウォードリュ修道院(ともに7世紀)を核に都市が形成され,毛織物業も発達し,市民の自由と自治も拡充された。エノー伯も兼ねたカール5世の時代に最盛期を迎えたが,17世紀以後数度にわたってフランスに占領された。現在は,中世の市壁跡が環状大通りとなり,城砦の遺構にはバロック様式の鐘塔(17世紀)がそびえる。後期ゴシック様式のサント・ウォードリュ教会(15世紀)とブリュッセルのタピスリーを収蔵する市庁舎(15~18世紀)があり,17~18世紀の住居も多数残る。陶芸,絵画,軍事などの美術館,博物館も多い。聖三位一体の日曜日に行われる,聖女ウォードリュの行列などでも知られる。
執筆者:森本 芳樹
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ベルギー西部、エノー州の州都。オランダ語名ベルヘンBergen。人口9万0955(2002)。7世紀よりエノー伯の娘により創建された丘上の僧院と城を中心に発達し、中世には毛織物工業で繁栄した。また重要な要塞(ようさい)として幾度も攻防の地となった。中央炭田の開発とともに鉱工業都市として成長し、金属、電気、ガラス、セメント、ビール工業などが発達した。1960年代からの炭田の閉山で全般的不況に陥り、産業の再編成を迫られた。1971年に設置された国立大学がある。
[川上多美子]
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