モンス(読み)もんす(英語表記)Mons

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モンス」の意味・わかりやすい解説

モンス
Mons

オランダ語ではベルヘン Bergen。ベルギー南西部,エノー州の州都ブリュッセルの南西約 50km,コンデ=モンス運河とサントル運河との接点に位置する。7世紀,修道院とエノー伯の城を中心に発達。 804年頃にエノー伯領の首都となった。 14~16世紀に毛織物業が発達して繁栄。ブルゴーニュ公国に吸収されてからは重要な要塞地となり,16~18世紀には領有をめぐってオランダ,スペイン,フランス,イギリス各国間で多くの攻防戦が繰返された。第1次世界大戦中イギリス遠征軍が最初に戦闘を行なった地で,多くの記念碑や墓地がある。市の経済と深く結合していた南西方のボリナージュ炭田炭鉱は 1950~60年に閉鎖されたが,繊維,レース,セメント陶磁器,皮革製品の製造が行われる。 15世紀の市庁舎や聖ウォードリュ聖堂,鐘楼などの歴史的建造物のほか博物館もいくつかあり,付近にもリーニュ公の城,古戦場跡などみるべきところが多い。大学,美術アカデミー,王立音楽院などがある文化都市。人口9万 2158 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンス」の意味・わかりやすい解説

モンス
もんす
Mons

ベルギー西部、エノー州の州都。オランダ語名ベルヘンBergen。人口9万0955(2002)。7世紀よりエノー伯の娘により創建された丘上の僧院と城を中心に発達し、中世には毛織物工業で繁栄した。また重要な要塞(ようさい)として幾度も攻防の地となった。中央炭田の開発とともに鉱工業都市として成長し、金属、電気、ガラス、セメント、ビール工業などが発達した。1960年代からの炭田の閉山で全般的不況に陥り、産業の再編成を迫られた。1971年に設置された国立大学がある。

[川上多美子]

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