モンタージュ写真(読み)もんたーじゅしゃしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンタージュ写真」の意味・わかりやすい解説

モンタージュ写真
もんたーじゅしゃしん

おもに犯罪捜査のために作成される合成写真をさす。これに対し、映画や写真といった芸術作品としての写真の合成は、フォトモンタージュとよばれる。モンタージュmontageとは、フランス語で組立て、編集という意味を表すことばである。

 モンタージュ写真は、目撃者記憶している犯人の顔に、顔の輪郭や髪型、眉(まゆ)、目、鼻、口などそれぞれの部分について目撃者がよく似ていると判断した写真を選び出し、それらを用いて合成して一つの顔写真とすることでつくられる。昭和40年代の後半には、多数の事件(多い年では1000件)で用いられたが、現在では、目撃者の記憶を基にして犯人の容貌(ようぼう)を再現する方法としては、かえって似顔絵の方が、特徴点を明らかにしやすく、全体のイメージが得られやすいことから、犯罪捜査にモンタージュ写真が用いられることはほとんどなくなっている。

[田村正博]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モンタージュ写真」の意味・わかりやすい解説

モンタージュ写真
モンタージュしゃしん

主として犯罪捜査のために作製される合成写真をいう。モンタージュした顔写真という意味で,犯人の顔を見た人の記憶を,輪郭,髪形,眉目,鼻,口などに分けて組立て,修正繰返し本物に近い写真とするもの。また,犯人の写真に眼鏡,髪形,服装を変えたものもある。

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