ヤギュウ

改訂新版 世界大百科事典 「ヤギュウ」の意味・わかりやすい解説

ヤギュウ (野牛)

一般にウシと呼ばれているもののうち,スイギュウ類を除いたグループで,ウシ属BosバイソンBisonの2属を指す。偶蹄目ウシ科の哺乳類。世界中に分布する家畜ウシBos taurusコブウシB.indicusを除くと,ユーラシアと北アメリカに6種がある。体長1.8~3.5m,尾長50~110cm,肩高1.3~2.2m,体重350~1000kg。

 ウシ属はさらに三つの亜属に分けられるが,それらの特徴は次のようなものである。ウシ亜属には家畜のウシとコブウシが含まれ,肋骨は13対で,体前半や腹側に長毛を欠き,尾は長くかかとより下方に達し,背はほとんど一直線。角は断面がほぼ円形で,頭骨の頂上にある高まりの両端から出る。前頭は平らで長く,角の基部と目とは遠く離れる。四肢は体と同色。ガウア亜属には最大のヤギュウのガウアB.gaurus(体長2.5~3.3m,尾長70~105cm,肩高165~220cm,体重650~1000kg)と1937年に発見された珍種のクープレーB.sauveliジャワやバリでは家畜にもされるバンテンB.javanicusの3種が含まれる。肋骨は13対,体前半や腹側に長毛を欠き,尾はやや短くかかとに達するのみで,背は一直線でなく,首から背中央まで高まり,次いで急に低くなる。角は断面が楕円だが,出方はウシ亜属と同様である。前頭は短く,角の基部と目とは遠くない。四肢の下部は白色。ヤク亜属はヤクB.grunniens1種からなり,肋骨は14対で,体は長毛で覆われ,尾はやや短くかかとに達するのみで,肩が高まる。角は断面がほぼ円形で,頭頂よりも下から左右にのびる。前頭は短く,やや突出し,角の基部と目は近い。

 バイソン属には亜属はなく,ヨーロッパバイソンBison bonasusとアメリカバイソンB.bisonの2種が含まれる。肋骨は14対で長毛は体前半に限られる。頭骨は短く幅広く,前頭はひどく出っぱり,角の基部と目は著しく近い。

 これらのヤギュウは,アノア属Anoa,スイギュウ属Bubalus,アフリカスイギュウ属Syncerusからなるスイギュウ類と明白な違いがある。スイギュウ類では肋骨は13対で,体毛はまばらで,尾はほぼかかとに達し,背はほとんど一直線。角は断面が三角形で,頭頂よりやや低いところから出る。
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百科事典マイペディア 「ヤギュウ」の意味・わかりやすい解説

ヤギュウ(野牛)【ヤギュウ】

バイソンをさす場合が多いが,ときには他の野生ウシ,たとえばガウア(インドヤギュウとも。肩高2m,インドミャンマー,西マレーシア,マレー半島に分布)やバンテン(ジャワヤギュウとも。肩高1.6m,インドシナ半島,ジャワ,ボルネオに分布)などを含めることもある。
→関連項目ウシ(牛)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤギュウ」の意味・わかりやすい解説

ヤギュウ
やぎゅう

バイソン

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