日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマイヌ」の意味・わかりやすい解説
ヤマイヌ
やまいぬ / 山犬
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科のニホンオオカミの異名。かつてはニホンオオカミの標準和名とされていたが、ヤマイヌには、別属のシベリアヤマイヌ(ドール)との類縁を連想させる欠点があるため、近年では用いられない。江戸時代の「山犬」にはオオカミと野生化したイヌの両方が含まれていた。ニホンオオカミの標本をオランダ、ライデンの動物博物館に送ったシーボルトP. F. B. von Sieboldと助手ブルゲルは、日本では「オオカミの肉は食用にできるが、ヤマイヌの肉は健康に有害といわれる」と報じている。この場合のヤマイヌは「病犬(やみいぬ)」の誤伝であると思われる。
[今泉吉典]