食の医学館 「ユリ根」の解説
ゆりね【ユリ根】
《栄養と働き&調理のポイント》
食用種のユリの球根で、中国が原産地です。形は葉の変形した鱗片(りんぺん)が重なり合って球形になっています。おもにオニユリ、ヤマユリ、スカシユリの球根が食用になります。
わが国では江戸中期から野菜として栽培されています。
○栄養成分としての働き
主成分は糖質で、他の栄養素としては、たんぱく質、ビタミンB類、カリウムなどを含みます。
水溶性食物繊維の一種であるグルコマンナンが豊富なので、便秘(べんぴ)を改善するとともに、コレステロール値の上昇を抑え、脂質異常症(こうしけっしょう)の改善に有効とされています。また、血糖値を抑制し、糖尿病を予防する働きも期待されます。
○漢方的な働き
漢方では、イライラや精神不安、不眠、更年期の不定愁訴(ふていしゅうそ)に効果があるとされています。せきやぜんそく、気管支炎の症状をやわらげる作用もあると考えられています。
ユリ根は京料理には欠かせない食材の1つで、調理に使う際は、球形のまま含め煮にしたり、一片ずつはがしたものを下ゆでし、煮ものや和えものにしたりします。
加熱するとイモによく似たホクホクとした食感が味わえます。
イライラや精神不安の解消、更年期の不定愁訴を緩和するには、はちみつを加えて蒸したものを食べるとよいといわれています。