ユーフォニウム(読み)ゆーふぉにうむ(その他表記)euphonium 英語

デジタル大辞泉 「ユーフォニウム」の意味・読み・例文・類語

ユーフォニウム(euphonium)

《「ユーフォニアム」とも》金管楽器の一。形状チューバに似るが、バルブ四つのものが多い。主に吹奏楽において、中低音部を受け持つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユーフォニウム」の意味・わかりやすい解説

ユーフォニウム
ゆーふぉにうむ
euphonium 英語
Tenorbass ドイツ語
Tenortuba ドイツ語
Euphonion ドイツ語

リップリード(唇を発音源とする)の気鳴楽器の一つ。サクソルン属一種で、「小バス」「テナー・チューバ」ともよばれる。金属円錐(えんすい)管を基本とする楽器で、とくに吹奏楽では重要な役割を果たす。一般に吹奏時にベルが上を向くようにつくられ、マウスピースは深いカップ形。B♭またはC管に設計されており、その音域はいわゆる大バスの一オクターブ上で、これはサクソルン属のバリトンと同じである。バリトンと比べてユーフォニウムの管は内径が太いため、低音域がよく響き、音色はより柔らかいのが特徴である。変音弁(バルブ)も、基本的な3個に加え、低音域を広げるために第四のものを設けていることが多い(5~6個のものもある)。ピストン式、ロータリー式のいずれも用いられている。

[卜田隆嗣]


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音楽用語ダス 「ユーフォニウム」の解説

ユーフォニウム[euphonium / Eup]

ロマン派の作曲家たちが最初に用いた大型の金管楽器は、木管楽器のように側孔を開閉して音階を奏するタイプの楽器であった。1830年頃このような楽器にバルブをつける試みが始まり、最終的にアドルフ・サックスが現在のユーフォニウムとチューバの形を完成させた。ユーフォニウムはその形状、音質とも小型のチューバといってよく、実際テナー・チューバという呼称もある。一般的にはBb管だが、移調楽器としてト音記号で記譜されることもあれば、実音記譜のヘ音記号によることもある。吹奏楽では常設の楽器で、特に行進曲のオブリガート旋律には常套的に用いられる。オーケストラ曲では、R.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」やG.ホルストの「惑星」など、ときに独立したパートを与えられ、そのあたたかい音色と豊富な音量で効果的なソロを聴かせる。しかし一般的には、大型のチューバには演奏の困難な高音パッセージ(たとえば、ムソルグスキー作曲・ラベル編曲の「展覧会の絵」の第4曲「牛車」)用に、チューバ奏者が持ち換え楽器として使用する。

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