日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリトン」の意味・わかりやすい解説
バリトン
ばりとん
baritone 英語
baryton フランス語
Bariton ドイツ語
baritono イタリア語
(1)男声のなかでテノールとバスの間にある声種をいう。その音域はおよそG2-G4であるが、オペラにおいてはA4を歌うバリトン歌手もいる。バリトンはこのように声域が広いため、音域の高いほうをハイ・バリトンhigh b.、低いほうをバス・バリトンbass b.と区別してよぶこともある。
(2)数種の大きさがある同一楽器のなかで、バス楽器よりも一回り小さい楽器に対して、この名称を冠する(例、バリトン・サクソフォーン、バリトン・オーボエ)。これらの楽器の音域は、ほぼ人声のバリトンの声域に対応している。
(3)17~18世紀以降にみられる数種の音部記号のなかで、バリトン声部用に使用されるものをバリトン記号という。これにはハ音記号を用いて五線譜の第五線をC4音とするものと、ヘ音記号で第三線をF3音とするものの2種類ある。
[黒坂俊昭]