高音(読み)タカネ

デジタル大辞泉 「高音」の意味・読み・例文・類語

たか‐ね【高音】

鳥の鳴き声や音楽調子の高いこと。「鶯の高音
高低2種の三味線合奏で高い音のほう。上調子うわぢょうし
能管一節切ひとよぎり・尺八などの曲名・曲節名。高音域で始まる曲が多い。

こう‐おん〔カウ‐〕【高音】

高い調子の音。
音楽で、高い音域。「スピーカー高音がひずむ」⇔低音

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精選版 日本国語大辞典 「高音」の意味・読み・例文・類語

たか‐ね【高音】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 音楽や鳥の声の高い音。
    1. [初出の実例]「tacane(タカネ)ニテ サエヅル トリ」(出典:羅葡日辞書(1595))
    2. 「鶯の日枝をうしろに高音哉」(出典:俳諧・蕪村句集(1784)春)
  3. 高低二種の三味線の合奏で高音の方をいう。豊後節系統の浄瑠璃(常磐津・清元・新内など)には必ず用いる。上調子。
    1. [初出の実例]「てうしもこゑも清元のたかねを入れしつれびきは」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)初)
  4. 能楽囃子(はやし)のうち、能管の演奏法の一つ。謡曲に返しの句がある場合に、その間に演奏されるアシライ。本来は謡曲の調子をととのえるためのものといわれる。ほかに、「高音ヒシグ」「高音ハネル」などがある。

こう‐おんカウ‥【高音】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 高い調子の音。音響学的には振動数の多い音。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「高音でハルロオと呼ぶのである」(出典:木精(1910)〈森鴎外〉)
    2. [その他の文献]〔晉書‐索靖伝〕
  3. 音楽で、人声の最も高い音域。ソプラノ。⇔低音。〔楽典初歩(1888)〕
    1. [初出の実例]「高音を左衛子が、低音部を右多子が受持っている」(出典:双生(1966)〈吉行淳之介〉一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高音」の意味・わかりやすい解説

高音
たかね

日本音楽用語新内節上調子 (うわぢょうし) の三味線のこと。大間本調子の地の三味線に対し,二上りに調弦し地の音の間に装飾的にからむ一種替手 (かえて) 。高い音色をきわだたせるため,非常に小型の撥 (ばち) を用い,小ようじの先で弾く場合もある。

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世界大百科事典(旧版)内の高音の言及

【上調子】より

…これを上調子と呼ぶ(図)。新内節ではとくに高音(たかね)という。また長唄でも唄浄瑠璃に用いられ,さらに《吾妻八景》や《秋色種(あきのいろくさ)》など合の手の多いものでは必ず用いるようになった。…

【三味線】より

…材料は象牙,水牛,べっこうを用いるが,一部分に黄楊(つげ),樫を用いるものもある。特殊なものとして,地歌の一部で用いられる細い棹の柳川三味線の撥(京撥)は全体が薄いし,新内の上調子(高音(たかね))に用いる小撥は極端に小さい。小唄は撥を使わないが,演奏会などでは使っている。…

【新内節】より

…これは〈流し〉という営業形態から作り出されたものと思われる。また地の三味線(本調子)の単調さを補うために,二上りに調弦された上調子も流しのためにくふうされたもので,〈高音(たかね)〉とも呼ばれた。爪ようじ,琴爪,小撥(こばち)などを用いて弾く。…

※「高音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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