ラジオイムノアッセー(その他表記)radioimmunoassay

翻訳|radioimmunoassay

改訂新版 世界大百科事典 「ラジオイムノアッセー」の意味・わかりやすい解説

ラジオイムノアッセー
radioimmunoassay

1960年,ヤローR.S.YalowとバーソンS.A.Bersonにより血漿インシュリンの免疫測定法として開発された方法。放射免疫測定法ともいう。原理は,放射性同位元素ラジオアイソトープ)で標識した抗原(たとえばインシュリン)の一定量(T)に,その抗原で異種動物を免疫して作った抗体の一定量を反応させると標識抗原-抗体結合物(B)を生じ,残りの標識抗原は遊離の状態(F)で残る。この系に非標識抗原(抗原の標準品または抗原を含む試料)を加えると,これと標識抗原は競合しながら抗体と結合し,平衡状態となる。そこで適当な方法でBとFを分離して放射能を測定すればBとFの割合が判明する。したがって抗原の標準品の濃度横軸に,その濃度に対応するB/TまたはB/Fを縦軸にとると標準曲線が得られるので,これを用いて試料中の抗原濃度を求めることができる。この方法はその後,理論,操作法,自動化法などの進歩改良をみながら生体内の微量物質の測定法として急速に普及し,ホルモン,ビタミン,血漿タンパク質酵素薬物,胆汁酸,HBs抗原,癌胎児性抗原などきわめて多数の物質の測定に応用され,基礎医学ならびに臨床医学に貢献した。その功績でヤローは1977年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した。ただこの方法にはアイソトープによる被曝汚染などのおそれと測定感度に限界(10⁻10~10⁻12モル濃度)があるため,最近,酵素免疫測定法enzyme immunoassayなどの非放射免疫測定法の研究も進展している。
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世界大百科事典(旧版)内のラジオイムノアッセーの言及

【核医学】より

…この試料の測定には,主としてウェル型(井戸型)シンチレーション検出器が用いられ,試験管内試料の測定効率を高めている。in vitro検査法は,従来の化学定量法や生物学的測定法などでは不可能であった生体内物質のごく微量の定量が行えるという点に特徴があり,1959年バーソンS.A.Berson,ヤローR.Yallowによる血中インシュリンの放射線免疫学的測定法(ラジオイムノアッセー,RIAと略称)に端を発している。その後多くの測定法が開発され,内分泌学やウイルス性疾患,癌関連の検査に応用されている。…

※「ラジオイムノアッセー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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