ランカスター朝(読み)ランカスターちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランカスター朝」の意味・わかりやすい解説

ランカスター朝
ランカスターちょう
Lancaster Dynasty

イギリスの王朝 (1399~1461,70~71) 。ヨーク朝とともにプランタジネット朝支派。エドワード3世の第4子ジョン・オブ・ゴーントは 1362年ランカスター公に叙せられたが,その子ヘンリーは,国王リチャード2世の専制に反抗する貴族を指導して挙兵,99年これを廃してヘンリー4世 (在位 1399~1413) として即位,初代の王となった。その子ヘンリー5世 (在位 13~22) は,アザンクールの戦いでフランス軍を破り,フランス王位継承権を得たが,南フランスで病没。その子ヘンリー6世 (在位 22~61,70~71) の時代,エドワード3世の第3子ライオネルの子孫ヨーク公のリチャードが王位を要求してバラ戦争を起し,リチャードの子エドワードが 1461年ヘンリー6世を廃位して,エドワード4世として即位,ヨーク朝を樹立した。ヘンリー6世は 70年いったん復位したが,翌年殺され,ランカスター朝の支配は終った。しかし 85年,その一族チューダー家のヘンリーがヨーク朝の王リチャード3世を倒してヘンリー7世として即位,バラ戦争を終結させ,チューダー朝を開いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランカスター朝」の意味・わかりやすい解説

ランカスター朝
らんかすたーちょう

中世イギリスの王朝。ランカスター家は、1267年プランタジネット朝ヘンリー3世の次男エドマンドがランカスターLancaster伯に叙せられたことに由来する。14世紀に「公」の称号を受けたが、同家の女と結婚したジョン・オブ・ゴーント(エドワード3世の四男)の代に勢力を強め、王リチャード2世の死により、1399年ジョンの子ヘンリー4世がランカスター王朝を創始(在位1399~1413)。第2代のヘンリー5世(在位1413~22)は百年戦争で華々しい勝利を飾ったが、次代のヘンリー6世(在位1422~61、70~71)のときヨーク家との間にばら戦争(1455~85)が起こり、ヨーク朝のエドワード4世によりヘンリーは廃位されて王朝は滅んだ。

松垣 裕]


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