ラングミュア-ヒンシェルウッド機構(読み)ラングミュアヒンシェルウッドキコウ

化学辞典 第2版 の解説

ラングミュア-ヒンシェルウッド機構
ラングミュアヒンシェルウッドキコウ
Langmuir-Hinshelwood mechanism

表面反応の機構の一つ.I. Langmuir(ラングミュア)がかれの提案した吸着等温式を反応に適用し,C.N. Hinshelwood(ヒンシェルウッド)がさらに一般の場合に拡張した.表面反応を行う分子のいずれもが,いったん固体表面に吸着し,吸着分子間の反応を経て,生成物分子が表面から脱離する経路をたどる機構をいう.多くの固体触媒反応は,この機構に従うと考えられている.2分子AおよびBがこの機構によって反応する際の速度式は,両分子が表面の同一吸着点上に競合してラングミュア型の単分子層吸着を行い,さらに表面反応過程が律速段階であるとすると,反応速度vは,

で表される.ここに,kr は表面反応の速度定数Lは吸着点の表面密度,sは一つの吸着点のまわりの最近接吸着点数,pApBθAθB および KAKB は,それぞれAおよびB分子の分圧,表面被覆率および吸着係数である.吸着熱Qとすれば

K = (定数) × eQ/RT

の形をとるから,圧が十分低いとき,反応速度は

vk0pApBk0krLsKAKB

と近似され,見掛けの活性化エネルギー

EErQAQB

となる.ここに,Er は表面反応過程の活性化エネルギーである.圧の変化,吸着係数の相対的大きさ,生成物あるいは毒物分子の吸着による阻害あるいは反応分子によっては,別個の吸着点などを考慮することにより種々の速度式および活性化エネルギーとの関係が求められる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 の解説

ラングミュア‐ヒンシェルウッド機構【Langmuir-Hinshelwood's mechanism】

固体表面での反応速度を理論的に取り扱った式.表面上でAとBとが反応するとして,それぞれの表面の被覆率 θA,θB関数として反応速度 vs を表す.θA,θB は均一相における濃度cAcB の関数と見なせるから

vskf(θA,θB)=k&scriptg;cAcB

おのおのの分子の吸着に対してラングミュアの吸着等温式*を応用すると,下のようにまとめることができる.ここで添字 P は生成物,p′ は触媒毒を意味する.

希薄な吸着の場合には,分母は1に近い値となるので,vscAcB となる.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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