吸着熱(読み)キュウチャクネツ

デジタル大辞泉 「吸着熱」の意味・読み・例文・類語

きゅうちゃく‐ねつ〔キフチヤク‐〕【吸着熱】

物質吸着により発生し、または吸収される熱量。一般的に、一定温度において吸着される物質の単位質量または1モルあたりの熱量で表される。

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化学辞典 第2版 「吸着熱」の解説

吸着熱
キュウチャクネツ
heat of adsorption

吸着に際して生じるエンタルピー変化.吸着分子1 mol 当たりの量として表されるが,与えられた圧および温度のもとでの部分モル量である微分吸着熱と,全エンタルピー変化を吸着分子の全モル量に割りつけた積分吸着熱の2種類がある.吸着熱は,一般に発熱であり,吸着量あるいは表面被覆率につれてかわるから,両者は一致しない.吸着結合の性質によって吸着熱の大きさは異なり,物理吸着では10 kJ mol-1 程度の発熱であるが,化学吸着では50~500 kJ mol-1 に達する.吸着熱を求めるには,断熱型熱量計を用いて一定の吸着量に対する発熱を直接測定するほか,温度がわずかに異なる二つの吸着等温線からクラペイロン-クラウジウスの式を利用して等量微分吸着熱を評価する.この値は真の微分吸着熱よりRTだけ大きい.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「吸着熱」の意味・わかりやすい解説

吸着熱 (きゅうちゃくねつ)
heat of adsorption

一般に固体表面(吸着媒)に気体吸着質)が吸着される際に発生する熱量をいう。広義には,気相-液相,液相-固相などの吸着質-吸着媒の組合せが考えられる。活性炭活性化シリカゲルについてよく研究されており,その熱量は吸着媒1molにつき数十kJ(物理吸着)~数百kJ(化学吸着)に及び,吸着の機構,吸着の度合,吸着媒の活性化の程度によって変化する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

栄養・生化学辞典 「吸着熱」の解説

吸着熱

 吸着剤に物質が吸着されるときに発生する熱.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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