ランシング(読み)らんしんぐ(英語表記)Robert Lansing

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランシング」の意味・わかりやすい解説

ランシング(Robert Lansing)
らんしんぐ
Robert Lansing
(1864―1928)

アメリカの法律家、政治家ニューヨーク州出身。アマースト大学卒業後、国際法の専門家として著名となり、ベーリング海問題、アラスカ国境問題、北太平洋漁業問題等の対外交渉政府法律顧問として活躍。その後1915年ウィルソン政権の国務長官に就任した。17年初めの第一次世界大戦参戦にあたっては、連合国側にたっての参戦をウィルソンに強く説いた。しかし19年、ベルサイユ会議で連合国とのより現実的な交渉を主張してウィルソンと対立し、20年辞任した。なお参戦後の17年11月、日本の中国進出を抑止すべく、石井‐ランシング協定締結した。

[紀平英作]


ランシング(アメリカ合衆国)
らんしんぐ
Lansing

アメリカ合衆国ミシガン州南部の都市で、同州の州都。グランド川、レッド・シーダー川、シカモア川3河川の合流地点に位置する。人口11万9128(2000)。周辺は農業地帯が広がるが、交通網発達した商工業の中心地であり、とくに自動車工業都市の一つとして広く知られる。大小の自動車関連工場が多く集まるほか、農機具化学工業などほかの工業の進出もみられる。また、農産物の取引地としても重要である。1837年に入植が始まり、47年には州都となり、59年より市制が施行された。1897年に自動車工業がおこり、急速な工業化の契機となった。

[作野和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランシング」の意味・わかりやすい解説

ランシング
Lansing, Robert

[生]1864.10.17. アメリカ,ニューヨーク,ウォータータウン
[没]1928.10.30. アメリカ,ワシントンD.C.
アメリカの政治家,国際法学者。 1892~93年ベーリング海仲裁裁判の法律顧問となったのをはじめ,数々の国際問題でアメリカ政府の顧問をつとめた。 1914年国務省顧問,15年国務長官となって活躍。 17年 11月日本の石井菊次郎特派大使との間に,日本人のアメリカ移民問題,および対中国問題について石井=ランシング協定を締結。 20年パリ講和会議への姿勢,および国際連盟規約をめぐって W.ウィルソンと対立して辞任。著書『和平交渉』 The Peace Negotiations (1921) ,『パリ講和会議における四巨頭』 The Big Four and Others at the Peace Conference (21) など。

ランシング
Lansing

アメリカ合衆国,ミシガン州の州都。デトロイトの西北西 136km,グランド川に面する。 1847年州政府がデトロイトから移されたときは,荒地であった。 59年市制。 19世紀末には農機具用の小型スチームエンジンの製造の中心地として発達。オールドモーターワーク会社,レオモーターカー会社が設立され,自動車工業の中心となり,ディーゼルエンジン,起重機,ポンプなどの関連工業が立地する。付近のイーストランシングにミシガン州立大学 (1855創立) がある。人口 11万4297(2010)。

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