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農業機械 のうぎょうきかいagricultural implement and machinery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

農業機械
のうぎょうきかい
agricultural implement and machinery

農作業に用いる機械。広義には農作業に用いられるすべての機械,器具が含まれるが,農業機械という場合には,構造的に簡単な器具は「農具」として除外され,原動機によって駆動される農用作業機具のことをさす。第2次世界大戦後の農業機械の歩みをみると,初めに脱穀機が大きく伸び,次いで耕耘機,防除機,さらに乾燥機や農用トラック,トラクタ普及,1970年代になってバインダコンバイン,さらに田植機が急速な普及ぶりをみせた。

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デジタル大辞泉の解説

のうぎょう‐きかい〔ノウゲフ‐〕【農業機械】

農作業に用いられる機械。耕耘機(こううんき)・農薬散布機・脱穀機・コンバインなど。

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百科事典マイペディアの解説

農業機械【のうぎょうきかい】

農作業に使用される機械の総称。ふつう動力によるものをさす。18世紀末よりプラウなどが発明されていたが,20世紀になって農用トラクターの登場と第1次大戦による労働力不足,需要の増大により急速に発達。
→関連項目トラクター農業機械工業農具

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世界大百科事典 第2版の解説

のうぎょうきかい【農業機械 agricultural machinery】

農業生産に用いられる機械の総称で,広義には圃場(ほじよう)で作物生産のために使われる圃場機械,収穫物を調製加工するための農産機械,さらに畜産に用いる畜産機械などを含めたものをさす。また機械だけでなく,農作業のための道具類も含めた農機具の意味で用いられることもある。しかし狭義には,収穫にいたるまでの作物生産に労働手段として用いられる圃場機械をさす。農業機械は直接作業をする作業機械と,これに動力を供給する原動機ないし動力機械とに分けることができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

農業機械
のうぎょうきかい

農作業に用いられる機械の総称で、一般には農業用の各種原動機、およびこれらによって駆動される各種作業機のことをいう。圃場(ほじょう)の上で農作業を行う機械や、収穫後の調製、農産加工や貯蔵に用いられる機械が含まれる。[井上喬二郎・谷脇 憲]

種類

農用原動機としては、石油を利用する各種内燃機関、および電力を利用する電動機が主として使われ、一部で水車、風車が使われている。また、トラクターは、作業機を装着して牽引(けんいん)したり、PTO(Power Take Off)とよばれる動力取出し軸で作業機を駆動しながら作業を行う。トラクターには、二輪の歩行用トラクター(耕うん機やテイラー)、四輪の乗用トラクター、装軌式(キャタピラー式)、半装軌式(前輪がタイヤ、後輪が装軌である方式)のトラクターなどがある。
 土をおこして種を播(ま)く準備をするための耕うん・整地用作業機としては、プラウやロータリー、砕土機などがあり、大部分はトラクターに装着して用いる。肥培管理用機械としては、田植機、移植機や、トラクター用作業機としての播種(はしゅ)機、施肥機、カルチベーター、堆肥(たいひ)散布機などがある。また防除用機械としては、噴霧機、散粉機、スピードスプレーヤーなどが使われている。
 イネ、ムギなどの収穫用機械としては、刈取り機(バインダー)、脱穀機、コンバインなどがあり、調製用機械として乾燥機、籾摺(もみす)り機、精米麦機などがある。また、乾燥調製施設としてライスセンター、カントリーエレベーターなどがある。
 牧草や飼料作物の収穫・調製用機械としては、草刈り機(モーア)、集転草機(レーキ、テッダー)、収穫機(フォレージハーベスター)、梱包(こんぽう)機(ベーラー)、運搬機(フォレージワゴン)などが使われている。乳牛飼育用機械としては、給餌(きゅうじ)機や糞尿(ふんにょう)処理機(バンクリーナー)、搾乳施設(バルククーラー)などが使われている。
 果樹や野菜の調製用機械としては、洗浄機、選果機、包装機などが使われている。[井上喬二郎・谷脇 憲]

日本における歴史

欧米で20世紀初頭に、農業生産力が画期的に向上した要因には、化学肥料の発明と農業の機械化があるとされている。欧米の農業は畑作中心の有畜農業として進展したため、畜力用農具や大型機械の発達も早かった。これに対して日本では、稲作中心で零細集約経営の道を歩んだため、人力用の農具を中心に発達し、畜力やエンジンを用いた機械の開発、利用は遅れた。
 日本における農業機械化の始まりは、近代的工業が発達し、農業機械を製造する基盤が固まってきた第一次世界大戦ごろからといえよう。このころ顕著な発達を示したものは、原動機(石油発動機、電動機)、揚水機、籾摺り機、精米麦機など定置型の機械で、これらは主として灌漑(かんがい)、排水などの土地改良や、米の調製加工を目的とするものであった。
 大正時代中期(1920年ごろ)に歩行用や乗用のトラクターが欧米から導入され、これらを参考にして昭和の前期(1930~1940年)にロータリー型、スクリュー型、クランク型の耕うん機の開発、改良が進められ、このなかの一つであるロータリー型耕うん機は太平洋戦争後急速に普及した。その後(1970年以降)、ロータリー型の耕うん機構を備えた乗用トラクターが開発され、今日では耕うん作業のほとんどが乗用トラクターを使って行われている。
 稲作の作業のなかでもっとも遅くまで人力に依存していたのは田植であるが、1960年代に田植機が開発され、今日ではほとんどの農家で歩行用または乗用の田植機が使われている。農業従事者数の減少に伴い、田植機の多条化や高速化が進展している。さらに、田植えに伴う苗作りなどの煩雑な作業が困難な状況では、直接圃場に種を播く直播機(ちょくはんき)の導入も始まっている。直播機には、圃場が畑状態の時に播種する乾田直播機と、水田状態の時に播種する湛水直播機(たんすいちょくはんき)がある。乾田直播にはムギ用の機械も用いられている。
 防除用機械は、大正の初めから昭和の初め(1915~1928年)にかけて背負い型噴霧機や動力噴霧機が実用化され、果樹作に用いられ始めた。稲作に本格的に用いられるようになったのは、能率的な散布が可能な水平ノズル、畦畔(けいはん)散布ノズルなどが実用化した1960年(昭和35)以降のことである。
 イネ、ムギの収穫と脱穀の作業は、長い間、鎌(かま)と千歯扱(せんばこき)を用いて行われていたが、1910年(明治43)に足踏み脱穀機が、続いて1918年(大正7)に動力脱穀機が開発され、千歯扱にとってかわった。刈り取りは、鎌による手刈りの時代が続いたが、1965年ごろに水稲の収穫に適した日本型コンバイン(通称・自脱コンバイン)が開発され、今日では全面的に使われるようになってきている。また、ダイズなどにも用いることのできる汎用型のコンバインの普及も始まっている。
 籾の乾燥には、1950年ごろから一部で平型乾燥機が使われ始めた。自脱コンバインによる収穫作業が行われるにつれて機械乾燥は必須(ひっす)となり、自脱コンバインの普及(1970年以降)に伴って平型や循環型の乾燥機が広く使われるようになった。また、籾摺りや貯蔵も兼ねたカントリーエレベーターなどの調製貯蔵施設も多く使われるようになった。
 草地や飼料作物用の機械は欧米で著しい発達を遂げていたため、これらの導入、利用や、これらを国産化した機械の利用が図られている。
 野菜や果樹などの園芸作物の耕うん、整地、播種や移植、肥培管理は、トラクターや専用機の利用が進んできている。収穫作業については、損傷により商品価値が大きく損われるおそれがあること、少量多品目生産であることなど、機械化には困難が多いが、それぞれの作物に応じた多様な収穫機械が開発されてきている。一部では、ロボット収穫機の開発が行われている。
 このように日本の農業機械の利用は、稲作の機械化に代表されるように独自の発展を遂げ、農作業での重労働からの解放や省力化に貢献してきた。その表れとして1960年以降の高度経済発展に伴って生じた農村から他産業への労働力の流出にもかかわらず、農業の機械化によって生産を維持することができた。しかし一方、日本における農業生産性の低さが大きな問題として残されており、これらに対応するために、現在は、GPS(Global Positioning System=全地球測位システム)や携帯電話などの無線通信網などを利用して農作業管理や生産物管理を行い、品質や商品性を強め、栽培履歴を明らかにして安全性を高めるような通信情報化農業が展開されようとしている。また、担い手の減少に対して農業ロボットの導入を図るなど、これらの新しい技術の展開への期待は大きい。[井上喬二郎・谷脇 憲]
『農政調査委員会編・刊『体系農業百科事典 第一巻』(1966) ▽農業機械学会編『生物生産機械ハンドブック』(1996・コロナ社)』

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世界大百科事典内の農業機械の言及

【農業】より

…農業生産には,この両行程が同時に併存し,両者の統一として農業生産力の発展・向上が追求されるし,追求されねばならないが,実際には,どちらか一方に偏って農業技術の発達,農業生産力の向上が追求されることが,しばしばである。もっとも,機械・工学的行程の中心である農業機械化についていえば,それが工業と比べて著しく困難で立ち遅れていること,立ち遅れざるをえないことも,農業生産の顕著な特質である。それは,高等動植物を対象・手段とする有機的生産のため,多種多様の異種作業があって,しかもそれぞれ綿密周到な管理労働を必要とすること,季節性の制約のため,同一作業期間が短く機械の遊休期間が長くて,その経済的な使用効率が低くならざるをえないこと,定置式の大型機械を用いる場面は少なく,移動型,走行型の中・小型機械を主とせざるをえないこと,などの理由による。…

【農業機械工業】より

…農業用の機械器具を製造する産業部門。農業機械とは,稲,麦,雑穀,いも類,豆類,果樹,野菜,工芸作物(タバコ,イグサなど),畜産,養蚕などの営農作業に使われる機械の総称である。営農作業は整地耕耘(こううん)作業から,収穫調製作業などまで数段階に及ぶため,機械の種類が多い。…

※「農業機械」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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