ランシー鉱(読み)らんしーこう(その他表記)ranciéite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランシー鉱」の意味・わかりやすい解説

ランシー鉱
らんしーこう
ranciéite

広義二酸化マンガン鉱物の一つであるが、マンガン鉱床中に産するほか、これとはまったく関係のない岩石、たとえばある種の火山岩石灰岩中、浅熱水鉱脈鉱床の脈石としても産する。独特の赤味を帯びた色、やや強い光沢、非常に脆(もろ)い性質などの特徴がある。高根鉱はこのもののMn2+置換体に相当するとされるが、水分の量が明らかにこれより多いので疑問もある。日本では福島県いわき市の変成岩中や静岡県下田市にある浅熱水性銅鉱脈鉱床の脈石鉱物として産する。命名原産地のフランス中部アリエ県ランシエRanciéにちなむ。

加藤 昭]


ランシー鉱(データノート)
らんしーこうでーたのーと

ランシー鉱
 英名    ranciéite
 化学式   (Mn4+,Ca,Mn2+)(O,OH)2・3~4H2O
 少量成分  Fe,Mg,Al,Cu,Na,K
 結晶系   六方
 硬度    極低
 比重    3.34
 色     暗赤褐~黒
 光沢    金属
 条痕    帯赤褐
 劈開    一方向
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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