日本大百科全書(ニッポニカ) 「高根鉱」の意味・わかりやすい解説
高根鉱
たかねこう
takanelite
広義の二酸化マンガン鉱物の一つ。1971年(昭和46)南部松夫(なんぶまつお)(1917―2009)らによって、愛媛県野村町(現、西予(せいよ)市野村町)野村鉱山(閉山)の変成層状マンガン鉱床の酸化帯から発見された。ランシー鉱の二価マンガン(Mn2+)置換体に相当するとされるが、これに比べると高根鉱は水分の量がかなり少ない。単位格子と測定比重から計算すると、原記載で与えられた式の4分の1がこれに収まることになるので、データ・ノートではこの式を採用している。原産地ではブラウン鉱、轟石(とどろきいし)、針鉄鉱、ハロイサイトhalloysite(カオリン鉱物の一種)、石英などと共存し、韓国の慶尚北道奉化郡にある将軍鉱山ではエヌスタ鉱、軟マンガン鉱などと共存する。命名は東北大学の鉱床学者高根勝利(たかねかつとし)(1899―1945)にちなむ。
[加藤 昭 2017年9月19日]