リグナン(読み)りぐなん(その他表記)lignan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リグナン」の意味・わかりやすい解説

リグナン
りぐなん
lignan

植物体内、とくに樹脂分から得られるアルコールまたはフェノール成分の総称であり、レジノールまたは樹脂アルコールともよばれる。通常、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチレンジオキシ基などで置換されたフェニルプロパン構造二つが側鎖で結合した骨格をもっている。リグニンと同様に植物体内においてシキミ酸経路で生合成される。植物由来のポリフェノールであるので、油脂の酸化防止作用をもつ。エストロゲンに似た作用をもつので植物エストロゲンとよばれている化合物群の一つである。

[廣田 穰 2016年11月18日]

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化学辞典 第2版 「リグナン」の解説

リグナン
リグナン
lignan

樹木中で生合成されたC6-C3(芳香核に C3 の側鎖を有する構造)の構造を有する酸やアルコール(フェルラ酸コニフェリルアルコールなど)が,酵素のはたらきにより,立体特異的に二量化したもので,光学活性を有する.ヒノキ心材のヒノキニン,カラマツのラリシレジノールなど,樹種および部位特異的に存在する多様なリグナン類が知られているが,それらのなかには生理活性を有するものも多く報告されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「リグナン」の解説

リグナン


 図に示したように,n-フェニルプロパンがn-プロピル側鎖の2位で2分子結合した形のβ,γ-ジベンジルブタン骨格をもつ物質の総称.植物に広く分布する.酸化防止剤として利用される.ゴマに含まれるセサモリン次ページの図のグアイヤレチン酸はその例.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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