改訂新版 世界大百科事典 「リベイロ」の意味・わかりやすい解説
リベイロ
Aquilino Ribeiro
生没年:1885-1963
ポルトガルの作家。20世紀のエッサ・デ・ケイロスとも呼びうる優れた資質をもち,その文体は擬古文的なものから方言による表現,都市のスラングなどを取り入れたものに及び幅が広い。作品は地方を舞台にしたもの,都会を舞台にしたものなど多いが,彼の全作品を貫くものは〈自然〉である。そこに登場する人間は,動物としての人間であり,その行動の基準は本能である。それはあらゆる障害を乗り越えて生き抜こうとする本能であり,男性の場合は雌としての女性を求める本能でもある。一方,彼の描写する自然も彼の自然観に基づくもので,谷や山,木々や水,小鳥などの描写で彼を越えるものはほとんどいない。《デーモンの地》(1918)は現代ポルトガル文学の代表的な作品。ほかに《サンチアゴの道》(1922),《バビロニアの娘たち》(1925),《狼が吠えるとき》(1958)などがある。
執筆者:池上 岑夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報