リベイロ(読み)りべいろ(英語表記)Bernardim Ribeiro

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リベイロ」の意味・わかりやすい解説

リベイロ
Ribeiro, Aquilino

[生]1885.9.13. ベイラアルタ,カレガールダタボーザ
[没]1963.5.27. リスボン
ポルトガル小説家ロマン主義第一人者。 1907年リスボンで革命思想の洗礼を受け,投獄された。脱獄後パリに潜伏,ここで処女短編集『嵐の庭』 Jardim das Tormentas (1913) を執筆。 14年帰国,文学活動を続けたが,新政権と対立,27年追放された。帰国してのちも常に反政府的立場を保持しつつ盛んな文学活動を行なった。 52年ブラジルを訪れ,南十字星勲章を授与された。主著,短編『サンチアゴへの道』 Estrada de Santiago (22) ,小説『曲った道』A Via Sinuosa (18) ,『割れた墓石』 Lápides Partidas (45) ,『ロマリガンイスの邸』A Casa Grande de Romarigães (57) ,『狼がほえるとき』 Quando os Lobos Uivam (58) のほか,伝記,評論,童話など。

リベイロ
Ribeiro, Tomás António

[生]1831.8.1. バラーダデゴンタ
[没]1901.2.6. リスボン
ポルトガルの詩人。コインブラ大学法学部卒業後,弁護士となる。 1862年下院議員,リスボン科学アカデミー副会長などをつとめ,またジャーナリストとして,雑誌『レププリカ』 Repúplica,『インパルシアル』O Imparcial,『オピニオン』A Opiniãoを発刊。代表作はスペインのポルトガル支配の衰退を語る叙事詩『ドン・ジャイメ』 Dom Jaime (1862) ,ウルトラ・ロマンティズモ的な『ユダヤ女』A Judia。ほかに『夕べ』 Vésperas (80) ,『不調和』 Dissonâncias (90) など。

リベイロ
Ribeiro, Manuel António

[生]1878.12.13. アルベルノーア
[没]1941.11.27. リスボン
ポルトガルの小説家。医学予備校を中退。若い頃から労働運動に従事,マルキストとなり,鉄道ストで投獄されたが,獄中にあるとき出版した処女作『大聖堂』A Catedralで文名を確立した。のちカトリックに改宗し,文筆活動に専念。主著『雄大な平原』A Planície Heróica (1927) ,『尼僧マリアナ・アルコフォラードの生と死』 Vida e Morte de Madre Mariana Alcoforado,『聖なる丘』A Colina Sagrada,『影での戦い』 Batalha nas Sombras。

リベイロ
Ribeiro Vaughan, Júlio César

[生]1845.4.10. サバラ
[没]1890.11.1. サントス
ブラジルの小説家,言語学者。共和政のために活躍。サンパウロ州のソロカバで,いくつかの新聞を発行。リオデジャネイロ修辞学の教師をつとめる。歴史小説『神父ベルシオール・デ・ポンテス』 Padre Belchior de Pontes (1876~77) ではイエズス会士とカトリックを攻撃,代表作『肉欲』A Carne (88) は性愛を描いて問題となった自然主義小説。ほかに『ポルトガル語文法』 Gramática Portuguesa (81) など。

リベイロ
Ribeiro, Bernardim

[生]1482頃.アレンテージョトラン
[没]1552. リスボン
ポルトガルの詩人,散文家。情感に満ちた田園詩を通じてポルトガルのブコリズム (牧歌風) の創始者となる。代表作は田園小説『郷愁』 Livro das Sandadas (1554~57) ,自伝的物語『少女と娘』 Menina e Moça (54) ,『田園詩』 Eclogas (54) ,『二人の羊飼いの歌』 Trovas de Dous Pastores (30) 。

リベイロ
Ribeyro, Julio Ramón

[生]1929. リマ
[没]1994.
ペルーの小説家。『サン・ガブリエルの記録』 Crónica de San Gabriel (1960) ,『日曜日の小悪魔』 Los geniecillos dominicales (1966) のほか,多数の短編があり,バルガス・リョサに次ぐ存在といわれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リベイロ」の意味・わかりやすい解説

リベイロ(Aquilino Ribeiro)
りべいろ
Aquilino Ribeiro
(1885―1963)

ポルトガルの散文作家。アルタ・ベイラ地方のカレガル・ダ・タボーザの出身。熱烈な共和主義者として革命運動や反政府運動に参加して二度もパリに亡命した。1932年に帰国してからは文学作品の推敲(すいこう)に専念し、また政治活動も続けた。短編作家としても優れ、パリ亡命中に書いた処女作『嵐(あらし)の庭』(1913)と『サンティアゴの道』(1922)の短編集はともに高く評価された。長編小説には『悪魔の地』(1919)、『モニカ』(1939)、『ボルフラーミオ』(1944)、代表作といわれる『ロマリガンイスの大邸宅』(1957)、『狼(おおかみ)が吼(ほ)えるとき』(1958)などがある。なお評論に『カモンイス、カミーロ、エッサその他』(1949)がある。その用語は、ときには田舎(いなか)的であり、ときには詩的であり、あるいは激しく、あるいは穏やかで、しばしば論争的なテーマに役だっている。20世紀におけるポルトガル散文の巨匠。

[濱口乃二雄]


リベイロ(Bernardim Ribeiro)
りべいろ
Bernardim Ribeiro
(1482ころ―1552)

ポルトガルの詩人。リスボン大学で法律を学び、ドン・ジョアン3世の宮廷の書記となったが、のち狂死した。ポルトガル最初の田園詩人で、古代ギリシアの詩人テオクリトスやローマの詩人ウェルギリウス風の『牧歌』(1554)を発表した。『むすめ』(1554)は自伝的物語で、人妻となった従妹(いとこ)への悲恋を字謎(じなぞ)を通してつづった叙情味あふれる名作。

[濱口乃二雄]

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