南アメリカ、コロンビア中部、首都ボゴタの北西約160キロメートルにある活火山。標高5399メートル。コロンビア・アンデスの中央山脈にあるおもに安山岩の成層火山。南北に流れるマグダレナ川とカウカ川の両河谷の間に、南隣の活火山トリマと並び立つ。赤道直下ながら、高峰のため万年雪の氷帽を頂く。「ネバド・デル・ルイス火山」ともいい、「ネバド」はスペイン語で「冠雪」の意。
1985年11月大爆発し、火砕流も生じ、氷雪を融(と)かし、川水も加えて大泥流と化し、東麓(とうろく)のアルメロ市をほぼ全滅させた。西麓のチンチナ市の被害なども加えると死者約2万3000人で、1902年西インド諸島(フランス領マルティニーク島)のプレー火山に次ぐ、20世紀世界第二の噴火災害を出した。1595年を皮切りに数回の噴火記録がある。1985年の噴火は140年ぶりで、約1年前から地震続発、噴気激化、小水蒸気爆発などの前兆現象があり、ハザード・マップ(災害予測図)もできていたが活用されなかった。国連や諸外国の救援隊が目覚ましく活躍し、これを契機に日本は翌年、国際消防救助隊を創設した。1986~1987年にも断続的に小噴火があった。ネバド国立公園の中心的存在で、山麓はコーヒーやコカインの産地として世界的に知られる。
[諏訪 彰]
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