マグダレナ川(英語表記)Río Magdalena

改訂新版 世界大百科事典 「マグダレナ川」の意味・わかりやすい解説

マグダレナ[川]
Río Magdalena

南アメリカ北西部,コロンビアを流れる川。同国の最長河川で全長1540km。コロンビア南西部においてアンデス山系のセントラル山脈に源を発し,北東流ないし北流してバランキヤ付近でカリブ海に注ぐ。中・上流部では南北に縦走するセントラル山脈とオリエンタル山脈の間を流れ,下流ではカウカ川をはじめとする多数支流とともに広大な低湿地を形成している。山がちで交通困難なコロンビアでは,昔から内陸高地と海岸部を結ぶ重要な交通路であった。オンダ付近の急流で一部航行が妨げられるが,源流部から約240km下流のネイバまで航行可能である。沿岸低地は,熱帯の非常に湿潤な気候下にあるため密林が広がり,人口は希薄である。都市は気候条件の良いアンデス山脈の高地(1000~3000m)に発達している。下流のバランカベルメハで石油が産出するほか,上流では山腹でコーヒー,バナナ,綿花,ゴマなどが生産される。1501年ロドリゴ・デ・バスティダスが河口を発見した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マグダレナ川」の意味・わかりやすい解説

マグダレナ川
マグダレナがわ
Río Magdalena

コロンビア西部を流れる川。同国南西部,アンデス山脈が中部山脈と東部山脈に分岐するあたりに源を発し,両山脈の間を北流したのち,下流部でサンホルヘ,セサル,カウカなど多数の支流とともに広大な湿地状の氾濫原を形成,バランキヤの下流でカリブ海に注ぐ。全長約 1540km。流路は比較的まっすぐで,流れが速く,水深が激しく変化する。小型汽船は,中流部オンダ付近で急流に妨げられる以外,河口から上流部沿岸ネイバまで航行可能。外洋船は浚渫によりバランキヤまで遡航できる。スペイン植民地時代より交易路として重要な役割を果し,鉱石農産物が小型船で運ばれ,19世紀なかば以降は汽船による運搬が盛んになった。しかし 20世紀に入ってからは,経済動脈としての役割は道路,鉄道,空路などによって次第に取って代られてきている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マグダレナ川」の意味・わかりやすい解説

マグダレナ川
まぐだれながわ
Río Magdalena

南アメリカ北西部の川。コロンビアのコルディエラ・セントラル山脈とオリエンタル山脈の間を北流し、カリブ海に注ぐ。全長1543キロメートル、流域面積27万3300平方キロメートル。下流部で最大の支流カウカ川が合流する。可航区間は1295キロメートルあるが、現在恒常的に水上交通に利用されているのは河口より997キロメートル上流のラ・ドラードまでである。最下流部は延長105キロメートルのディケ運河でカルタヘナ港と結ばれる。中流域にはバランカベルメハを中心に油田が多数分布する。

[松本栄次]

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世界大百科事典(旧版)内のマグダレナ川の言及

【住居】より


[南アメリカの水上住居]
 水上住居としてコロンビアのカリブ海岸の湖沼地帯の杭上住居と,ペルーのチチカカ湖の浮島住居がある。コロンビアのマグダレナ川の河口付近はラグーンになっており,この地域の住居は,ラグーンの浅い部分に杭を打ち,横板で土止めをした人工島の上につくられる。深い所では杭の上に直接住居が載る。…

※「マグダレナ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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