ルウィ語(読み)ルウィご(その他表記)Luwian

改訂新版 世界大百科事典 「ルウィ語」の意味・わかりやすい解説

ルウィ語 (ルウィご)
Luwian

ルビア語ともいう。ボアズキョイ出土のヒッタイトの粘土板文書に出てくる言語で,その名称はヒッタイト語の副詞luili(〈ルウィ語では〉の意)に基づく。ルウィ語は,ヒッタイト語,パラ語などと同様にインド・ヨーロッパ語族のアナトリア諸語一つに数えられるが,その詳細はまだ不明な点が多い。名詞の格は4格(主格,対格,与格奪格-助格)が確認されており,性はヒッタイト語と同じく両性中性がある。両性の複数形は,接尾辞-nz-を伴う。動詞の活用変化は,ヒッタイト語との類似を示す点が多いが,ヒッタイト語のように一般的なmi-とh‿i-の変化形の区別は明確ではない。また,動詞の活用語尾の一部,あるいは分詞形などに,原インド・ヨーロッパ語の形が残されている。ルウィ語を使用していたルウィ族は,ヒッタイト族に小アジア中央部から押し出される形で南西部にアルザワArzawa王国を築いたとされ,ギリシア人と接触していたものと推測される。なお,前18世紀から前8世紀にかけて,アナトリア,北シリアに広く分布しているヒッタイト象形文字の言語,とくに前13世紀以降のものは,最近の研究でルウィ語であることが明らかになってきている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルウィ語」の意味・わかりやすい解説

ルウィ語
ルウィご
Luwian language

前 15世紀前後に小アジア南部で話されていた言語で,いわゆるアナトリア諸語の一つ。インド=ヨーロッパ語族に属する楔形文字の文書から知られる。時代の下がるヒッタイト象形文字碑文も,ルウィ語の一方言らしく,さらにリュキア語も近い関係にあると思われる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android