フランスの画家兄弟。5人兄弟のうち3人が画家で,順にアントアーヌAntoine le Nain(1600ころ-48),ルイLouis le Nain(1605ころ-48),マチューMathieu le Nain(1610-77)。ともにランに生まれ,パリで没。その伝記には不明の部分が多い。パリに出,1648年そろってアカデミーの会員となったことが知られる。これは,3人が共同して制作に当たっていたがゆえと考えられる。約15点にサインや制作年代があるが,どのサインも〈ル・ナン〉とだけ記され,いずれも3人とも存命中の48年以前の作である。このように,資料的な点だけによって3兄弟の作品を区別することは難しい。しかし,これまで画風により3人の作品はほぼ区別されてきた。アントアーヌのものは,多く銅板の上に比較的強い色で人物を描いた小品で,その写実性はネーデルラント絵画に影響を受けている。ルイは,これよりかなり寸法が大きく,冷たいグレー系の色調を用いて宗教画,神話画,風俗画,とりわけ農民肖像画を手がけた。3兄弟の絵画のうち最もすぐれた作品と目される〈鍛冶場〉(2点)と《聖児誕生》はルイの作とされる。マチューは,やや混み入った構図の,写実性に富む約15点の作品を制作したが,ときに瑣末な写実主義に走った。《喫煙室》が代表作。このような分類基準の妥当性は,依然として失われていない。しかし1978-79年の〈ル・ナン展〉(パリ)は3人の画風の再検討を誘うものである。
執筆者:田中 英道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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[フランス]
フランスでは17世紀の初頭まで,マニエリスムのフォンテンブロー派が尾を引いていた。カラバッジョ派のバランタン・ド・ブーローニュがまず清新の気を伝え,風俗画のル・ナン兄弟,明暗様式のG.deラ・トゥールなどが〈プロト・バロック〉を代表する。彼らはカラバッジョやリベラと同じく,極度に技巧化したマニエリスムを克服し,現実生活に眼を向けた精神の革新のモメントを代表しているといえよう。…
※「ルナン兄弟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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