日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルベルディ」の意味・わかりやすい解説
ルベルディ
るべるでぃ
Pierre Reverdy
(1889―1960)
フランスの詩人。南仏ナルボンヌに生まれる。トゥールーズで学んだのち、パリに出る。モンマルトルに住み、アポリネール、ジャコブ、ピカソらと交わり、文学上のキュビスム(立体派)の代表者の1人と目される。第一次世界大戦中の1917年に雑誌『北‐南』を創刊し、戦後の前衛的文学運動の先駆をなす。とくに詩集『空の漂流物』(1924)に収められた初期作品は、ダダやシュルレアリスムの詩人たちに高く評価される。25年以後隠棲(いんせい)し、孤独で宗教的な文学生活を送りつつ、『風の泉』(1929)など多くの詩集を発表。また『毛皮の手袋』(1927)、『私の航海日誌』(1948)などの自伝的・詩論的エッセイによって、現代フランスの詩に影響を及ぼす。象徴主義を超えようとする前衛詩人でありながら、同時に古典主義的傾向をも保持した。
[巖谷國士]
『窪田般彌訳『ピエール・ルヴェルディ』(『フランス現代詩29人集』所収・1984・思潮社)』