日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルートマップ」の意味・わかりやすい解説
ルートマップ(地学)
るーとまっぷ
route map
地質調査のルートに沿って、地形・地質の情報を記入した大縮尺の地図。路線地質図ともいう。通常、露頭の多い道路や川、海岸などに沿って調査し作成するが、地質図作成のために露頭が少ないルートでも作成することがある。調査目的に応じて使用する地形図は異なるが、普通1000分の1から2万5000分の1の縮尺のものを用いる。この地形図に記入された露頭の位置に、岩質、地層の走向・傾斜、断層の位置と走向・傾斜、化石産出地点など、地質の観察測定事項を記入する。地形図に詳細を書ききれない場合には、露頭番号を付し野帳(フィールドノート)に記載する。こうしたルートマップ作成作業をマッピングmapping(図化のこと)という。
100分の1や500分の1など必要な調査精度に応じた大縮尺の地形図が入手できない場合には、簡易測量によりルートの形状を方眼紙ないし野帳に作成する。すなわち、距離は歩測で、方位はクリノメーターを用いて測量する。歩測は、調査者が自分の歩幅を測定しておき、何歩歩いたかで距離を測定する方法である。距離の誤差は、数百分の1程度の縮尺なら、歩測でも鉛筆の線の太さ以内に収まり、かなり精度がよい。デジタル距離計を使って距離を測ることもされている。急斜面ではハンドレベル(水平を見通す器具)などを用いて高低差も記入しておく。同時に、地形図に転写する際の目印となる地物や地形の概観、露頭の位置と形状なども記入する。
通常、地質図はルートマップを基に作図される。かならずしも全域を同じ精度でマッピングするわけではないが、地質学的に重要な箇所や地質構造の複雑な場合には、より大縮尺のルートマップを作成することが望ましい。
[岩松 暉・村田明広]