翻訳|clinometer
地質調査に使う簡易測量器具。傾斜儀ともいう。基本的には、磁石と水準器と振り子からなる。鏡付きの蓋(ふた)やハンドレベル(水平を見通す器具)の付属しているものもある。主として地層の走向、傾斜の測定に用いるが、普通の磁石と同様、方位を測ることもある。まずクリノメーターの長辺を地層面に当て、水準器で水平を保つ。そのときの磁針の示す方位が走向である。N20゜Eなどと北から東または西へ何度振れているかで表す。方位を直読できるよう、東西が普通の磁石と反対に刻印されている。次にクリノメーターを立て、長辺を走向に直角に当てる。そのときの振り子の示す角度が地層の傾斜角である。走向と直交し沈下していく向きを磁石で測り、30゜Eなどと傾斜角に方位を添えて表す。なお、日本では2000年代中ごろにデジタルクリノメーターが開発されており、これを層理面に当てるだけで、走向・傾斜の両方の数値が表示されるようになっている。デジタルクリノメーターには、任意の偏角補正機能や、測定データのメモリー機能がついており、多くのデータを収集するときに威力を発揮する。
[岩松 暉・村田明広 2016年2月17日]
傾斜計,傾斜儀ともいう。傾斜を測定する器具で,地質調査用,気象観測用,鉱山用,工場での計測用などさまざまなタイプのものがある。地層の分布,変動量,構造を探るために用いられたものが一番古い。地質学用のクリノメーターは,磁石,水準器,ハート形の錘を組み合わせた簡便な測角器具である。地層面のみならず岩石一般にみられる節理面,葉理面などの面構造や,各種の線構造を野外で直接的に計測する。地形図上での位置の決定やルートマッピングの際の簡単な測量にも利用され,地質調査になくてはならない器具である。
→地質調査
執筆者:原田 哲朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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