レイヨニスム(読み)れいよにすむ(その他表記)layonnisme フランス語

関連語 名詞

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レイヨニスム」の意味・わかりやすい解説

レイヨニスム
れいよにすむ
layonnisme フランス語

ロシアの画家ラリオノフが20世紀の初めに提唱した絵画理論。ロシア語ではルチズムЛучизмで、光線を意味するルチから生まれた用語。光線主義。主としてラリオノフとその夫人ゴンチャロバがこの理論を実践したが、その主張するところは、絵画を純粋化していけば究極のところ光線を描くことになるとして、画面を光線の交錯によって構成するものである。それはまた色彩ハーモニーリズムとの関係をとらえることにも通じ、20世紀における抽象絵画の先駆的な仕事でもあった。しかし、ロシアにおいては、ラリオノフが1915年に西側へ去ったこともあり、この絵画理論は発展されなかった。西欧においても、この理念は抽象絵画のなかに吸収されて、それ自体としては継承されず、この用語はロシア前衛絵画史のなかに名をとどめているにすぎない。

木村 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android