日本大百科全書(ニッポニカ) 「レッド・パワー」の意味・わかりやすい解説
レッド・パワー
れっどぱわー
Red Power
1960年代後半から70年代にかけて高揚を示したアメリカ・インディアンの復権運動で、その名は黒人解放運動の旗印となったブラック・パワーに由来する。「レッド」とは彼らがレッドマン(赤人)とよばれたことによる。レッド・パワーは、インディアンが自らの固有の文化、価値観、生活様式を自らの手で復活し再生することを目ざし、アメリカ合衆国と結んだ条約上や協定上の諸権利――領土権、漁業権、水利権、地下資源権など――の回復と擁護を具体的な内容とする「民族自決」運動である。68年に結成されたアメリカ・インディアン運動(AIM)が推進力となって、69~71年のアルカトラズ島占拠、72年の「破られた条約の旅」(連邦政府の違約に対する抗議デモ)や内務省占拠、さらに73年のウンデッド・ニー占拠などを展開した。このような直接行動だけでなく、74年の全国アメリカ・インディアン会議による「主権宣言」、法廷闘争や国際連合での活動など、多様な方法で復権運動が続けられている。
[富田虎男]