法廷闘争(読み)ホウテイトウソウ

デジタル大辞泉 「法廷闘争」の意味・読み・例文・類語

ほうてい‐とうそう〔ハフテイトウサウ〕【法廷闘争】

公判闘争

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精選版 日本国語大辞典 「法廷闘争」の意味・読み・例文・類語

ほうてい‐とうそうハフテイトウサウ【法廷闘争】

  1. 〘 名詞 〙 労働運動政治運動に関する係争が裁判に持ち込まれたとき、被告やそれを支持する労働組合、政党などが裁判を通じて使用者や政府の不当を主張し、広く一般の支持を獲得しようとする活動。〔鑑識捜査(1958)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「法廷闘争」の意味・わかりやすい解説

法廷闘争
ほうていとうそう

労働組合や争議団などが、各級裁判所を舞台として、自己の主張や権利の法的正当性を擁護するために行う闘争をいう。裁判闘争ともいう。広くは、労働者政党の同様の闘争も含まれる。資本主義国家の本質は、その階級支配性にあるが、にもかかわらず司法的機能の相対的独自性の認識に基づき、法廷闘争が行われる。その場合、法自体の偏向や階級性などについて陳述、抗議し、広範な国民的支持を得ようとする場合や、法が現実に守られず不利益を生じているがゆえに、積極的な法の保護を求めて闘う場合などがある。たとえば、労働組合法労働基準法を規範とし、その規定・基準に反するものとして、不当労働行為の提訴や労働基準法違反の告発を行うなどは後者の代表的事例であり広くみられる。他方、官公労働部門での争議権回復問題にかかわる法廷闘争は、第二次世界大戦後の日本国憲法とくに第28条の勤労者団結権団体交渉権団体行動権の保障に照らし、特別法たる国家公務員法行政執行法人の労働関係に関する法律(1948年の制定当初は公共企業体労働関係法)などにおいて労働基本権の大幅制限を行っていることを不当とし、このような法自体の存在やあり方を問うものである。いずれにしても、法廷闘争は日常闘争の一環として一般化している。

[早川征一郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「法廷闘争」の意味・わかりやすい解説

法廷闘争 (ほうていとうそう)

裁判は,訴える者=原告(刑事事件では検察官)と訴えられる者=被告(同じく被告人弁護人)との間で,双方の主張,立証の活動を軸として,その手続が進められる。すなわち,法廷は原告と被告による攻撃と防御の闘わされる場ともいうことができるのであって,その意味で法廷闘争という語が,裁判について用いられることがある。とくに刑事事件については,第2次大戦後の法改正で当事者主義が強化され,被告人の権利を厚く保護するようになったため,このことがとくに強調される。しかし,そこには対立的活動をとおして真実を明らかにしようという基本的な理念があり,また権利の濫用は認められないとすれば,その枠をはみ出すような手段をとることは許されないであろう。とはいえ,どこまでが正当な闘争手段なのか,その線を引くことはきわめてむずかしい。いわゆる〈荒れる法廷〉において,被告人,弁護人の活動の当否は,対立当事者たる検察官の対応,そして手続の主宰者たる裁判所の訴訟指揮,審理の進め方いかんを抜きにしては判断できない。

 なお,消費者問題など,社会的な広がりを持った事件において,一定の要求の実現を企業や行政に働きかけようとするときに,広く一般大衆にアピールしてその支持を得ようとする意図もこめて,裁判に訴えて法廷を主戦場として運動を盛り上げていこうとすることを,法廷闘争と呼ぶこともある。
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