最新 地学事典 の解説
レニウムオスミウムどういたい
レニウムオスミウム同位体
rhenium-osmium isotopes
レニウムには質量数185と187の同位体が,オスミウムには質量数184, 186, 187, 188, 189, 190, 192の同位体が存在する。これらのうち187Osが187Reの放射壊変(β−壊変,半減期416億年)により生じる性質を利用して,安定同位体である188Osとの比を取った187Os/188Osのことをオスミウム同位体比と呼び,さまざまな地質学的プロキシーとして活用されている。レニウムの方がオスミウムよりもインコンパチブルであるため,時間の経過とともに大陸地殻(河川水)は高い187Os/188Osを,マントル(熱水)や隕石(宇宙塵)は低い187Os/188Osを有する。この性質を利用して,過去の海水の187Os/188Osを堆積物から復元することで,氷期─間氷期変動や海洋無酸素事変などの気候変動・海洋環境変動,隕石衝突イベントの解読や火山岩のマグマソースの解明などに用いられる。ストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)と類似のシステマティクスを有するが,隕石(宇宙塵)の影響が読み取れることと,海洋における滞留時間がストロンチウムよりも2桁短い数万年であることが大きく異なる。オスミウム同位体を用いた初期の研究では187Os/186Osを用いた議論が行われていたが,186Osは2.0×1015年の半減期で182Wにα崩壊するため厳密には安定同位体ではなく,また190Ptのα崩壊によっても186Osが生じるため,現在は187Os/188Osを用いた議論が一般的。
執筆者:野崎 達生
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

