レミング(読み)れみんぐ(英語表記)Norway lemming

デジタル大辞泉 「レミング」の意味・読み・例文・類語

レミング(lemming)

ネズミ科の哺乳類体長14センチくらいで、尾はごく短い。夜行性北欧分布。数年ごとに大繁殖し、群れをなして大移動をする。たびねずみ

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精選版 日本国語大辞典 「レミング」の意味・読み・例文・類語

レミング

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] lemming ) ネズミ科の哺乳類。スカンジナビア半島シベリア・北米北部に生息する約四属一七種の総称だが、ふつうはそのうちの一種ノルウェーレミングを指す。頭胴長約一〇センチメートル。頭が大きく尾は短い。体の上面は前半が黒く、後半は黄褐色で、下面は淡い色となる。数年おきに大増殖し、移動する。大発生の時には、大集団で直線的に移動し、湖や海に入って死ぬという伝説で有名。フィンランド、スカンジナビア半島の北・中部の山岳地帯に分布する。たびねずみ。

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改訂新版 世界大百科事典 「レミング」の意味・わかりやすい解説

レミング
lemming

齧歯(げつし)目ネズミ科レミング族Lemminiの哺乳類の総称。大発生した大集団が移動し,海や湖で大量に死に,よく集団自殺の例として引合いにだされる。ユーラシア北アメリカの中・北部に4属10種が分布。体長7.5~15.7cm,尾長1~2.7cm,体重20~112g。体はハタネズミに似てがんじょうで四肢は短いが,尾がきわめて短い。毛が密生し,耳介は小さく毛に隠れる。体は赤みのある黄褐色に黒褐色の斑のあるノルウェーレミングLemmus lemmus,夏毛は鈍い淡黄色を帯びた赤褐色だが,冬になると全身白色となるクビワレミング属Dicrostonyxなどさまざまである。平地から山地森林,草原,ツンドラにすみ,地衣類,コケ,草などを食べる。ふつう冬でも繁殖をつづけ,妊娠期間16~23日で年に数回,1産1~13子,平均7.3子を生む。寿命は1~2年。周期的に個体数は大きく変動するが,その原因は気候の周期的な変化により食物量が変動することに基づくといわれるが,まだよくわかっていない。大発生することでとくに有名なのはノルウェーレミングで,1960-61年にも大発生が3回観察されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レミング」の意味・わかりやすい解説

レミング
れみんぐ
Norway lemming
[学] Lemmus lemmus

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目キヌゲネズミ科の動物。正式名はノルウェーレミングという。フィンランド、スカンジナビア半島北・中部の山岳地帯に分布し、ツンドラや高山草原にすんでいる。頭胴長13~15センチメートル、尾長0.5~1.9センチメートル、体重約40グラム。夜行性で、地下や雪の下にトンネルを掘り巡らす。草、地衣類、蘚苔(せんたい)類を食べる。泳ぎは巧みであるが、3~4年ごとの大発生のときには、集団で移動して海中に飛び込み、おぼれ死ぬまで泳ぎ続けることで有名である。この大群での移動がみられるのは、爆発的増殖をおこしたときだけで、集団的恐慌状態に陥るものといってよい。しかし、通常年でも春になると低所に下がり、秋には高地に戻る移動を繰り返す。この通常の移動習性からタビネズミの名でもよばれるが、夜行性のためにこれらの移動は人目につかない。年2回、1産2~8子を産む。

 このほかレミング属Lemmusには、シベリア地方に分布するシベリアレミングL. sibiricus、アムール地方に分布するアムールレミングL. amurensis、プリビロフ諸島に分布するクロアシレミングL. nigripesなどがある。また、近縁の属としては、北アメリカやユーラシアに分布するクビワレミング属Dicrostonyxなどがある。なお、レミングの名でこれらを総称することもある。

[宮尾嶽雄]


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百科事典マイペディア 「レミング」の意味・わかりやすい解説

レミング

タビネズミとも。齧歯(げっし)目ネズミ科レミング族の哺乳(ほにゅう)類の総称。代表種ノルウェーレミングは体長15cm,尾1.3cmほど。体はずんぐりして,背面は赤みのある黄褐色,腹面は淡い。スカンジナビア半島に分布。夜行性だが,昼も活動し,草,葉,樹皮などを食べる。地面に穴を掘って群居。1腹2〜11子。周期的に大発生し,極限に達すると大移動をする。このときは大群がまっすぐに進み,湖水や海にとび込んだほとんどが死滅する。森林害獣であるだけでなく,大量溺死(できし)して水源を汚染することもある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レミング」の意味・わかりやすい解説

レミング
Lemmus lemmus; Norway lemming

齧歯目キヌゲネズミ科。タビネズミともいう。体長 14cm,尾長 1.3cm内外。体は黄褐色。気候がよく,食物が豊富なとき繁殖力が高まり,個体密度が高くなることがある。このようなときに群れをなして大移動をすることがあるが,移動の途中で多くの個体は死んでしまうという。植物質ならほとんどなんでも食べる。岩の下や植物の下などに大きな丸い巣をつくる。スカンジナビア半島,フィンランド,ラップランドなどに分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のレミングの言及

【大発生】より

…哺乳類においても特異な生理・生態的変化をともなう場合のあることが知られているし,集団移動も頻繁に起こる。寒帯に住むレミング(タビネズミ)やユキウサギなどでは,前者は4年の,後者は10年の周期的大発生を繰り返し,これを食うアカギツネやオオヤマネコもそれにつれた周期的な密度変動を示すことが知られているが,温帯や熱帯に住む動物ではそうした周期的な大発生はほとんど見られない。 大発生の原因としては,えさをはじめとする生息条件の好転,天敵や競争種の欠如あるいは活動の低下などが考えられるが,多くの場合,そうした条件の発生は特別な気候条件の到来が契機となるとみられている。…

※「レミング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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