日本大百科全書(ニッポニカ) 「レーダーマン」の意味・わかりやすい解説
レーダーマン
れーだーまん
Leon Max Lederman
(1922―2018)
アメリカの物理学者。ニューヨークに生まれる。ニューヨーク市立大学でおもに化学を学び、1943年に卒業したが、第二次世界大戦のため3年間従軍した。1946年コロンビア大学大学院物理学科に進み、1951年博士号を取得、そのまま同大学で研究を続け、1958年教授となった。1961年からはネイビス研究所の所長を兼任し、またブルックヘブン国立研究所などで客員研究員として研究を行っている。1979年フェルミ国立加速器研究所の所長に就任、1989年まで務めた。
コロンビア大学で素粒子物理学の研究に従事した。大学の同僚であるシュワルツ、シュタインバーガーとともに、1960年にブルックヘブン国立研究所において、ニュートリノに関する実験を開始した。彼らは、ニュートリノ線(ニュートリノ・ビーム)をつくりだす装置を設計し、この装置を用いてμ(ミュー)粒子(ミューオン)と対をなすミューオン・ニュートリノを発見し、レプトン(軽粒子)の双極子構造を実証した。この業績により、レーダーマンはシュワルツ、シュタインバーガーとともに1988年のノーベル物理学賞を受賞した。
[編集部 2018年10月19日]
『レオン・レーダーマン著、高橋健次訳『神がつくった究極の素粒子』上下(1997・草思社)』