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μ粒子 ミューりゅうしμ-particle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

μ粒子
ミューりゅうし
μ-particle

ミューオンまたはμ中間子ともいう。レプトンの1種。スピン 1/2 のフェルミオンディラック方程式に従う。質量が 105.66MeV で,電子に比べて 207.76倍も重いことを除けば,μ粒子と電子は区別ができないほどよく似ている。 1937年 C.D.アンダーソンと S.H.ネッダーマイヤーによって宇宙線の霧箱写真のなかで発見された。この粒子は湯川秀樹が 35年に予言していた核力を媒介する中間子であると誤認されていたが,二中間子論の理論的予言を経て,47年に C.F.パウエルが宇宙線乾板のなかでπ中間子 (核力の中間子) がμ粒子に崩壊する飛跡を得るに及んで,初めてμ粒子が確認された。μ粒子は負電荷 -e ( e電気素量 ) ,その反粒子は正電荷 +e をもつので,それぞれを負μ粒子,正μ粒子と区別する。μ粒子はπ中間子やK中間子の崩壊によって反ミューニュートリノとともに生成される。また平均寿命 2.2×10-6 秒で電子,反電子ニュートリノ,ミューニュートリノに崩壊する。これらの弱い相互作用ではμ粒子とミューニュートリノとが常に組になって関与する。陽子がそのまわりに電子を捕えると水素原子を形成するように,正μ粒子が電子を捕えると1種の原子をつくる。これをミューオニウムという。また負μ粒子が通常の原子の軌道電子と置き換って1種の原子をつくることがあり,このような原子をミューオン原子という。これらの原子の物理的および化学的性質は研究途上にある。宇宙線は地球大気に突入すると種々の過程を経てμ粒子,ニュートリノ,電子,光子などとなって地表に到達し,なかでもμ粒子は毎秒 10個程度の割合でわれわれの体を貫通している。μ粒子は物質との相互作用が弱いので貫通力が強く,地下 3000mの深いところでも観測される。

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デジタル大辞泉の解説

ミュー‐りゅうし〔‐リフシ〕【μ粒子/ミュー粒子】

素粒子の一。質量は電子の約207倍で、電荷は正・負の2種、スピン半整数。崩壊して電子とニュートリノになる。記号μ ミューオン。

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百科事典マイペディアの解説

μ粒子【ミューりゅうし】

ミューオンとも。レプトンの一種。負電荷をもつμ(-/)とその反粒子μ(+/)があり,質量は電子の207倍,スピン1/2。1937年アンダーソンが発見,その2年前に湯川秀樹が中間子理論で予言した粒子と思われたが,種々の矛盾が現れ,1947年パウエルπ中間子の発見により別粒子と判明。
→関連項目K中間子中間子二中間子論物質構造科学研究所レプトン

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大辞林 第三版の解説

ミューりゅうし【μ粒子】

素粒子の一。記号 μ  正負の電気素量をもつ2種があり、スピン 1/2 。質量は電子の約207倍。平均寿命約 2×10-6 秒で、電子とニュートリノに崩壊する。レプトンに属する。ミューオン。

μ粒子

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世界大百科事典内のμ粒子の言及

【宇宙線】より

…また,宇宙空間での宇宙線のもつエネルギー密度は1eV/cm3程度である。二次宇宙線の成分は,π中間子,K中間子など,およびこれらが崩壊して転化するμ粒子,電子,γ線,中性微子などである。なお,少量ではあるが,宇宙から飛来する電子,陽電子,γ線,中性微子,反陽子などもあり,高エネルギーのものは宇宙線として扱われている。…

【素粒子】より

…また陽子と中性子は核子と総称され,Nで表される。
[π中間子とμ粒子]
 電気的に中性の中性子がなぜ,原子核という小さな領域に閉じ込められているのであろうか。これに対して1935年湯川秀樹は,質量が電子の約280倍くらいのボース粒子(スピンが整数の粒子),すなわち中間子と呼ばれる粒子を新しく導入し,陽子と中性子がこの中間子を交換することによって核力を生じ,核力によって原子核内に閉じ込められているという理論を提唱した。…

【中間子】より

…π中間子のほかにも,ストレンジネスをもったK中間子,チャームをもったD中間子,ボトムをもったB中間子なども見つかっており,また現在では中間子は単一の粒子ではなく,クォークと反クォークの結合系と考えられている。なお,1936‐38年,C.D.アンダーソンによって,宇宙線中に湯川の予言した中間子と思われる粒子が発見され,当初μ中間子と呼ばれたが,その後この粒子は中間子の仲間でないことが明らかとなり,現在ではμ粒子,あるいはミューオンと呼ばれている。素粒子メソンファクトリー【猪木 慶治】。…

※「μ粒子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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