軽粒子(読み)ケイリュウシ

関連語 名詞

日本大百科全書(ニッポニカ) 「軽粒子」の意味・わかりやすい解説

軽粒子
けいりゅうし

強い相互作用を行わず弱い相互作用をするフェルミ粒子スピン半整数粒子)の総称で、レプトン(ギリシア語で軽い粒子の意)ともよばれる。素粒子に対する知見が不十分なころの分類法に由来している。陽子中性子は電子の約2000倍の質量があるが、陽子・中性子と同程度またはそれ以上の質量の粒子を重粒子、電子のように軽い粒子を軽粒子、中間の質量のものを中間子(メソン)と名づけた。今日でもこれらの名前は使われているが、軽粒子の呼称は、この組の代表的素粒子である電子の特徴(「強い相互作用」を行わず「弱い相互作用」をする)を有するフェルミ粒子をさすときに使われる。

 軽粒子に分類されているμ(ミュー)粒子は、電子の約200倍の質量があるので、かつてはμ中間子とよばれていた。しかし今日では、その質量の違いを除けば電子とまったく同じ性質を有するので、軽粒子に分類されている。また1970年後半に発見されたτ(タウ)粒子も「強い相互作用」をしないので軽粒子とよばれているが、その質量は重粒子の陽子の約2倍もある(重い「軽粒子」)。今日では軽粒子は、電子、μ粒子、τ粒子とそれらに付随した中性微子(ニュートリノ)νe、νμ、ντの6粒子(とそれらの反粒子)が知られている。

 物質の基本要素としての粒子を分類する概念としては、クォーク属、レプトン属、相互作用を媒介している媒介子属を用いるのが適切である。

益川敏英

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「軽粒子」の意味・わかりやすい解説

軽粒子 (けいりゅうし)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軽粒子」の意味・わかりやすい解説

軽粒子
けいりゅうし

「レプトン」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の軽粒子の言及

【レプトン】より

…軽粒子ともいう。電子,μ粒子,τ粒子およびそれぞれに対応する中性微子(電子ニュートリノ,μニュートリノ,τニュートリノ)の総称。…

※「軽粒子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android