ロシアの首都モスクワの中心部、赤の広場に面するクレムリンの壁の前にある革命家レーニンの墓地。レーニン死亡の1924年に仮の廟がつくられ、29年に暗赤色の岩石で建て替えられた。ソ連時代、レーニン廟に詣(もう)でる人々の長蛇の列は赤の広場の名物であった。また5月1日のメーデー、11月7日の革命記念日に赤の広場でパレードが行われ、当時のソ連の指導者たちがこの廟の上に立ち、行進するパレード参加者に挨拶(あいさつ)を送ることでも有名であった。ソ連解体後の社会変化と資料公開に伴って、レーニンの評価そのものが変化し、遺体の維持管理費用や国民的広場における墓の存在などが問題視されるようになった。この廟の継続に賛成する意見もあるが、遺体をサンクト・ペテルブルグのレーニン家の墓に移すべきとの意見も強い。1997年6月に大統領だったエリツィンはその移転を提案したが、2001年現在、実施されていない。なお、この墓地のある赤の広場はクレムリンとともに1990年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[小俣利男]
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