アメリカ西部最大の日刊新聞。1881年創刊。同紙は、創刊3年後、タイムズ・ミラー社を設立したハリソン・グレー・オティスHarrison Gray Otis(1837―1917)に引き継がれ、1917年ハリソンの女婿のハリー・チャンドラーHarry Chandler(1864―1944)が発行責任者となり、以後、チャンドラー一族が発行し続けた。同紙は長らく、共和党系の保守的な新聞で記事内容が公平とはいえない、という評価を得ていたが、1960年オティス・チャンドラーOtis Chandler(1927―2006)が33歳で発行責任者となって以来、さまざまな改革によって大きく変わったといわれる。ワシントン支局や海外特派員を質・量ともに充実させ、ニュース報道に重点を置き、バランスのとれた紙面づくりを行うほか、製作部門の近代化に積極的に取り組んできた。その結果、過去のイメージを払拭(ふっしょく)し、『ニューヨーク・タイムズ』紙や『ワシントン・ポスト』紙と並ぶ高い評価を得ている。コラムや調査報道でも定評がある。2000年に親会社のタイムズ・ミラー社は、トリビューン社に買収された。そのトリビューン社は2007年にシカゴの不動産王サミュエル・ゼルSamuel Zell(1941―2023)が経営権を握ったが、業績不振により2008年に連邦破産法の申請を行った。ただし新聞発行を含む多くのメディア事業は継続している。発行部数は平日版90万部(2009)。
[鈴木ケイ・木村綾子]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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