日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロスコー」の意味・わかりやすい解説
ロスコー
ろすこー
Sir Henry Enfield Roscoe
(1833―1915)
イギリスの化学者。ロンドンに生まれ、ロンドン大学でグレアムとウィリアムソンに学んだのち、1853年ハイデルベルクのブンゼンのもとに留学。水素と塩素の光化学反応を研究し、反応量が吸収した光エネルギーに比例することを示した(1855~1857)。1857年帰国し、マンチェスターのオーウェンス・カレッジの化学教授となった。もっとも重要な研究はバナジウムの研究で、その最高酸化物がV2O5であることを示し、また純粋なバナジウムを単離した(1865~1868)。化学教育の改善にも尽力し、『初等科学シリーズ・化学』(1872)やショルレンマーとの共著『化学教科書』(1877)など優れた教科書を著した。ハーデンとの共著『ドルトンの原子論の起源に関する新見解』(1869)の著作もある。1866年以後労働者のための公開講義を行った。1885年に大学を退職したのちは国会議員をはじめとして数々の役職を歴任した。
[内田正夫]