ドールトン(その他表記)Dalton, John

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドールトン」の意味・わかりやすい解説

ドールトン
Dalton, John

[生]1766.9.5./1766.9.6. イーグルスフィールド
[没]1844.7.27. マンチェスター
イギリス化学者,物理学者。家が貧しく,小学校の教育を終えたあとは独学した。12歳で塾教師,15歳で学校の教師を務めた。1793年マンチェスター・ニューカレッジの数学,物理学の教師。1799年以後は個人教授をしながら研究を行なった。1794年マンチェスター文学・哲学協会会員,1817年同会長。1822年ロイヤル・ソサエティ会員,1830年フランス科学アカデミー外国人会員。主著『化学の新体系』New System of Chemical Philosophy(1808)に発表した有名な原子分子仮説および原子量概念は,ドールトンの生涯にわたる気象学研究とそれに関連する気体の研究と深く結びついているといわれるが,ジョゼフ=ルイ・プルースト定比例の法則,ドールトンみずから定式化した倍数比例の法則,アントアーヌ=ローラン・ラボアジエの元素概念を,より根底から総合するものであった。ドールトンの考えた気体モデルが静的なものであったこと,単体気体をすべて単一原子からなるとし,また化合物の分子を構成する原子数に恣意的な仮定を設けたために正しい原子量の値を得られなかったことなど,いくつかの限界はあったが,ギリシア以来の思弁的原子論を,原子量概念を通じて実験と結びつけ,近代化学の基礎に据えるものであった。また,ドールトンの考えは,アメデオ・アボガドロの重要な研究を触発し,今日用いられている原子量,分子量の値を導き出す出発点にもなった。ドールトンは色覚異常で,これについても研究したので,色覚異常のことをドールトニズムともいう。

ドールトン
Dalton, Edward Hugh John Neale

[生]1887.8.26. ニース
[没]1962.2.13. ロンドン
イギリスの政治家,経済学者。ケンブリッジ大学卒業後,ロンドン大学講師として財政学などを教える一方,労働党に属して下院議員(1924~31,1935~59),外務次官(1929~31)などを経て同党中央執行委員会議長(1936~37)。第2次世界大戦中はチャーチル内閣の軍需大臣,商務大臣を務め,戦後アトリー労働党内閣財務大臣(1945~47)としてイギリス産業の国有化問題などを処理,ランカスター公領大臣(1948~50),都市計画大臣(1950~51)などを歴任。労働党内右派の理論的指導者の一人。理論面ではアーサー・C.ピグーの問題意識を引き継ぎ,所得移転の厚生変化を論じた。主著『財政学』Principles of Public Finance(1923)。

ドールトン
Dalton

アメリカ合衆国,ジョージア州北西部の都市。 1837年創設。銅の産地として発展した。南北戦争中にはこの一帯数回にわたって戦場となった。絨毯,寝具などの産地で全国生産の過半を出荷する。人口2万 1761 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドールトン」の意味・わかりやすい解説

ドールトン
どーるとん
Baron Dalton, Edward Hugh John Neale Dalton
(1887―1962)

イギリスの政治家。ケンブリッジ大学を卒業後、第一次世界大戦に従軍。戦後ロンドン大学で経済学を講じた(1920~1936)。1924年労働党下院議員となり、第二次労働党内閣では外務次官に就任した。第二次世界大戦中、経済戦担当相(1940~1942)、商務相(1942~1945)として、戦争遂行の経済面で大きな役割を果たした。1945年からアトリー労働党内閣の蔵相となり、イングランド銀行国有化などを行ったが、1947年、予算案漏洩(ろうえい)の責任をとって辞任した。1948年ランカスター公領相として政府に復帰、1950~1951年に都市計画相を務めた。

[木畑洋一]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ドールトン」の解説

ドールトン
John Dalton

1766~1844

イギリスの物理学者,化学者。1803年混合気体の圧力に関し「ドールトンの分圧法則」を発見,08~27年刊の主著『化学哲学の新体系』で原子の仮説から定比例および倍数比例の定律(原子論)を展開した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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