改訂新版 世界大百科事典 「ロップス」の意味・わかりやすい解説
ロップス
Félicien Rops
生没年:1833-98
ベルギーの版画家,画家。ナミュールに生まれ,ブリュッセルで法律と画技を学ぶ。1856年,風刺週刊誌《オイレンシュピーゲルUylenspiegel》を創刊,挿絵版画に腕をふるう。67年,写実主義的傾向の〈美術自由協会〉設立に関与するが,74年のパリ移住後は,ボードレール,ペラダン,バルベー・ドールビイ,マラルメら象徴派の詩人の作品の挿絵その他のエッチングと石版画の制作に従事,同時代風俗の恥部への関心,露骨なエロティシズム,骸骨,悪魔,死等のまがまがしいものへの嗜好に,写実主義と世紀末象徴主義の独特の混淆を示している。油彩では版画と同様の主題および印象派風の風景を描いた。86-93年には〈レ・バン(二十人組)〉に属する。パリ近郊エソンヌで没。
執筆者:高橋 裕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報