日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロラーズ」の意味・わかりやすい解説
ロラーズ
ろらーず
Lollards
13世紀イギリスの宗教改革者でオックスフォード大学神学教授ウィクリフの教説を信奉する「ロラード派」Lollardの人々をいう。この語は「優しく子をあやし歌う」lullaに由来する。14世紀後半が全盛期で、彼らは法冠、十字架、聖油、香料の使用に反対し、また巡礼、偶像崇拝、告解、強制的な独身主義を排して、聖書と説教こそが唯一の法であるとした。この派の拠点はオックスフォード大学で、信徒は中産者層や手工業者の間に多かった。15世紀に入ると、議会が異端の火刑を認める法令を定め、諸王と大司教も厳しく弾圧したため勢力は衰えた。この教説は海を越えてプラハに伝わり、フスの改革運動に継承される。
[松垣 裕]