改訂新版 世界大百科事典 「ワタアブラムシ」の意味・わかりやすい解説
ワタアブラムシ
Aphis gossypii
半翅目アブラムシ科の昆虫で,体長1~2mm,体色は黄緑色,暗青緑色,淡黄色と変化に富む。〈ワタのアブラムシ〉という意味の学名をもち,和名の由来もここにある。しかし寄主となる植物はワタのほか多岐にわたり,野菜,果物,花卉栽培における害虫として著名である。このように寄主範囲の広い種類はアブラムシ全体からみれば少数であるが,モモアカアブラムシ,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ユキヤナギアブラムシなどのように,農作物の重要な害虫となっているものが多い。またこのような種類は人為的に運ばれる機会が多いので,一般に世界各地に広がっている。一方,アブラムシの大多数は寄主範囲が狭く,農業とは無縁のものが多いが,アブラナ科植物に寄生するダイコンアブラムシや,マメ科植物に寄生するエンドウヒゲナガアブラムシ,ブドウに寄生するブドウネアブラムシなどのように,作物に発生するものはその作物に特有の害虫となる。
執筆者:宮崎 昌久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報