ワタアブラムシ(英語表記)Aphis gossypii

改訂新版 世界大百科事典 「ワタアブラムシ」の意味・わかりやすい解説

ワタアブラムシ
Aphis gossypii

半翅目アブラムシ科の昆虫で,体長1~2mm,体色は黄緑色,暗青緑色,淡黄色と変化に富む。〈ワタのアブラムシ〉という意味の学名をもち,和名の由来もここにある。しかし寄主となる植物はワタのほか多岐にわたり,野菜,果物,花卉栽培における害虫として著名である。このように寄主範囲の広い種類はアブラムシ全体からみれば少数であるが,モモアカアブラムシジャガイモヒゲナガアブラムシ,ユキヤナギアブラムシなどのように,農作物の重要な害虫となっているものが多い。またこのような種類は人為的に運ばれる機会が多いので,一般に世界各地に広がっている。一方,アブラムシの大多数は寄主範囲が狭く,農業とは無縁のものが多いが,アブラナ科植物に寄生するダイコンアブラムシや,マメ科植物に寄生するエンドウヒゲナガアブラムシ,ブドウに寄生するブドウネアブラムシなどのように,作物に発生するものはその作物に特有の害虫となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワタアブラムシ」の意味・わかりやすい解説

ワタアブラムシ
わたあぶらむし / 綿蚜虫
[学] Aphis gossypii

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目アブラムシ科Aphididaeに属する昆虫。体長1.0~1.2ミリ。無翅胎生雌は黒色、黒褐色、青緑色、淡緑色、黄色と体色はさまざまで、光沢はない。触角は六節からなり、第三節はとくに長い。角状管は短円筒形で先端は細い。ムクゲツルウメモドキ樹上で卵越冬し、春季からジャガイモ、ナスキュウリユリキクなどに寄生し、11月ごろにムクゲやワタ上で有性生殖をする。世界中に分布。園芸植物の大害虫で、コロニーは大きい。おもに地表近くの下葉の裏に寄生する。

[林 正美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワタアブラムシ」の意味・わかりやすい解説

ワタアブラムシ
Aphis gossypii

半翅目同翅亜目アブラムシ科。体長 1.5mm内外。体色は淡黄,黄緑,濃緑,黒色など変化に富む。触角は黒色で6節から成り,有翅胎生雌では第3節に4~8個の感覚板が1列に並ぶ。翅は透明。腹部両側にはそれぞれ4個の小黒色斑がある。多食性でワタ,フヨウ,ムクゲなどに冬季寄生し,春夏は他に移動する。ウリ,ナスなどの害虫としても知られる。世界各地に産する。 (→アブラムシ )

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