翻訳|workhouse
労役場あるいは救貧作業場などと訳される貧民収容施設。その理念は、市民革命期(重商主義)と、産業革命期(自由放任主義)とで差がある。主としてイギリスに例をとれば、絶対王制確立期にカトリック・ヒューマニストたちによって雇用保障の必要性がいわれ、1572年法より「授産財料を税金によって準備して稼働させる」制度が登場し、1597年法以来、自治体のなかで積極的に設立することとなる。本格的には、名誉革命期に流行となり、1722年、ナッチブル法の成立をみる。その後の自由主義経済理念成立のなかで、ワークハウスは「貧民の有利な雇用」から「救援抑制のための見せしめの場」に転じ、1834年改正救貧法のなかのワークハウスの役割は有名である。
[白沢久一]
…これはプロテスタンティズムと重商主義の影響を背景にヨーロッパ各地に広がった。この懲治場house of correctionは,浮浪者を犯罪者予備軍として対象にする点で,救貧対策上のワークハウスwork houseとは起源を異にしていた(イギリスの1609年法は前者に対して単なる改善的処遇のかわりに刑罰的懲戒を権限づけた)。しかし,やがて両者は融合し,軽罪者をも収容しつつ旧来の牢獄jailとも融合していった。…
※「ワークハウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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