アガペー(読み)あがぺー(その他表記)agapē

デジタル大辞泉 「アガペー」の意味・読み・例文・類語

アガペー(〈ギリシャ〉agapē)

真の愛。神的愛。
神の、人間に対する自発的、無条件的絶対愛。新約聖書の中でのイエス=キリスト受難復活に象徴的に示される愛。エロスと区別される。
キリスト教会信徒が共にする食事愛餐あいさん

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精選版 日本国語大辞典 「アガペー」の意味・読み・例文・類語

アガペー

  1. 〘 名詞 〙 ( [ギリシア語] agapē )
  2. 新約聖書における神の人間に対する愛。また、人間の、神や隣人に対する無私なる愛。神が、罪人である人間のために与える自己犠牲的な愛で、イエス=キリスト受苦と死とにおいて実現する。→エロス
  3. 初期キリスト教徒会食。信徒が結合を強めるために行なった。愛餐(あいさん)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アガペー」の意味・わかりやすい解説

アガペー
あがぺー
agapē

愛を意味するギリシア語。同じギリシア語のエロスerōsが、対象の価値を追求するいわば自己本位の愛を意味するのに対し、対象そのものを愛する他者本位のキリスト教的な愛を示すことばとして、『新約聖書』のなかに用いられている。

 また、3世紀から4世紀ごろのキリスト教徒が、兄弟のような結合と愛を表し、貧者、とくに未亡人に施しをするために、それぞれの家庭で開いた晩餐(ばんさん)(愛餐ともいわれる)も意味している。

[大谷啓治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アガペー」の意味・わかりやすい解説

アガペー
agapē

新約聖書 (特にコリント人への手紙1,ヨハネ福音書,ヨハネ書簡など) で愛を意味するギリシア語。ラテン語では amorあるいは caritasと訳される。カトリック神学では caritasは信仰 fides,希望 spesと並ぶ基本的な徳の一つであるが (→愛徳 ) ,新約聖書のアガペーは,神の愛,キリストの愛,キリスト信者同士の愛のすべてについて用いられる。キリスト信者同士の愛をさすときには,本能的,衝動的愛をも意味するエロス erōsと区別して用いられており,パウロはこれを最大の徳と呼んでいる (コリント人への手紙1) 。またアガペーは初期のキリスト信者の親善,博愛のための会食をもいい,これは初め聖餐式と緊密な関連をもっていたが,3世紀頃から次第に分離され,キリスト教典礼とは別の会食となった。

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