日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルブーゾフ」の意味・わかりやすい解説
アルブーゾフ(Aleksey Nikolaevich Arbuzov)
あるぶーぞふ
Алексей Николаевич Арбузов/Aleksey Nikolaevich Arbuzov
(1908―1986)
ロシアの劇作家。レニングラード(サンクト・ペテルブルグ)の演劇学校を卒業、俳優・演出家として各地の劇場を転々としながら、1930年に処女戯曲『クラス』を発表し、愛情問題のつまずきにめげずたくましく生きる若い女性を描いた秀作『ターニャ』(1938)で劇作家としての地歩を確立した。『夜明けの町』(1940)、『ヨーロッパ年代記』(1952)、『さすらいの年月』(1954)などを発表、『イルクーツク物語』(1959)で劇界の人気をさらう。自由奔放な劇構成、叙情性、メロドラマ性が劇作の特徴になっている。ほかに『父と子』(原題『失われた子』1961)、『私のかわいそうなマラート』(1964)、『夜の告白』(1964)、『古いアルバート街の物語』(1970)、『ターリン行きの船』(原題『古風なコメディ』1975)、『期待』(1977)、『残酷な遊び』(1981)、『想い出』(1981)などがある。再三にわたって来日し、作品にそのころの日本を反映させている。
[中本信幸]
アルブーゾフ(Boris Aleksandrovich Arbuzov)
あるぶーぞふ
Борис Александрович Арбузов/Boris Aleksandrovich Arbuzov
(1903―1991)
ロシアの化学者。1926年にカザン農林学校を卒業、カザン化学技術学校教授(1935~1938)を経て、カザン大学教授に就任した。ソ連時代の科学アカデミーの有機・物理化学研究所所長とカザン大学ブトレロフ化学研究所所長を歴任。1937年「双環テルペン炭化水素とその酸化物の核異性体転換」の論文で博士号を取得。以降、主としてテルペンや複素環式化合物の構造や形成に関して400編以上の科学論文を発表し、有機化学、物理化学の分野の研究を進めた。ソ連国家賞、レーニン勲章などを授与されている。
[髙山 進]