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物理化学 ぶつりかがく physical chemistry

翻訳|physical chemistry

7件 の用語解説(物理化学の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物理化学
ぶつりかがく
physical chemistry

物理学と化学との境界領域を扱う科学。物質変化に伴う物理的影響と,事物の最も完璧な集約的形式である数理機構との間にバランスを保ちながら,自然現象を記述する学問である。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

物理化学

化学の領域を、物理学の考え方を使って研究する分野。物質の構造、物質の性質(物性)、物質の反応を調べる。量子力学の考え方をこの分野に応用したのが量子化学。研究対象の物質によって有機物理化学や無機物理化学ともいう。半導体超伝導体導電性プラスチックなどの新素材開発には、有機化学無機化学の物質合成に関わる分野との相互協力が欠かせない。計算化学の発展は目覚ましく、学術論文でも計算化学による成果が多く見られる。計算化学は分子の運動状態や反応ダイナミックスシミュレート(予測)する分子動力学法と、分子内の電子を構成原子の軌道で記述する分子軌道法に大別される。近年では、これらの方法に密度汎関数法やアブ・イニシオ(ab initio、非経験的分子軌道)法といわれる量子化学計算が用いられている。凝縮系の界面における電気化学反応触媒反応は、界面の特性で反応性が違ってくる。原子・分子レベル化学反応の制御を目指すナノサイエンス、ナノテクノロジーは物理化学の潮流の1つといえる。

(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ぶつり‐かがく〔‐クワガク〕【物理化学】

物理学の理論や実験方法などによって、物質の構造や化学的性質・変化などを解明しようとする化学の一分野。理論化学

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百科事典マイペディアの解説

物理化学【ぶつりかがく】

物理学の理論や実験方法をとり入れて物質の構造,化学的性質,化学反応などを研究する化学の一分野。古くは一般化学,理論化学などとも。19世紀に熱力学の建設に伴い巨視的な観点からの一応の体系化がなされたが,20世紀に入り量子力学を基礎として個々の分子や原子の構造,化学結合の性質が明らかにされ,微視的な観点からの体系化が進められ,のち統計力学によって両者が結びつけられて発展した。
→関連項目オストワルト化学

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶつりかがく【物理化学 physical chemistry】

物質の構造,物性,反応の研究を根幹とする化学に,物理学の理論および実験的手法を導入して展開した化学の一分野。化学が錬金術という秘術の時代を抜け出して,科学としての発展過程に入った19世紀の化学の最大の進歩発展は,分子の概念の導入によってなされたといえよう。J.ドルトンによって物質の構成単位として超微粒子(原子)が提案され,それを受けて,A.アボガドロが分子の存在を仮定したのは19世紀初頭である。これらの分子概念は1859年,S.カニッツァーロの分子量の測定によって,かなり明確なものとなった。

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大辞林 第三版の解説

ぶつりかがく【物理化学】

物理学の理論と測定方法により、物質の構造・化学的性質や反応機構などを研究する化学の一分野。特に、理論的な取り扱いを主とする場合に化学物理学ということもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物理化学
ぶつりかがく
physical chemistry

物理学の理論と物理的な測定技術を用いて化学物質の構造・性質・反応を研究する化学の一分野。化学の諸現象を物理学に基礎を置く理論で解明することから、一時は理論化学theoretical chemistryとよばれたことがある。化学は物質の仕組みと変化を探る学問で、「無機化学」は無機化合物を、「有機化学」は炭素化合物を扱っており、化合物全般について統一的な筋立てを研究するのが「物理化学」であるとされてきた。しかし近年、無機化合物と炭素化合物との境界に「有機金属化学」が誕生し、また「物理有機化学」や「無機物性化学」など、昔日の「物理化学」「無機化学」「有機化学」という化学の3分野の分属法はあまり大きな意味をもたなくなっているといえる。ここでは「物理化学」は、あらゆる物質の中に存在する共通の要因を探る分野をさすことにする。[下沢 隆]

物理化学の3分野とその対象


構造化学――物質の構造決定
物質の組立ては、原子やイオンの並び方によって決定される。この分野が構造化学で、物理的な測定手段を用いて物質の構造を研究する。大別して分光法、回折法、熱的手段、磁気的手段になっている。いずれも物理学の理論とくに量子力学・量子統計力学を基礎としており、第二次世界大戦後に大きな進歩を遂げた。最近では基底状態における分子構造の決定は物理化学の研究対象ではなくなりつつあり、構造化学の専門家でなくとも市販の測定装置を用いて分子の構造が決定できるようになっている。
 歴史的には構造化学はファント・ホッフのメタンの構造に端を発する。これはまったく化学的手法であった。しかし、ボーアの原子モデルに端を発する量子力学の誕生により、シュレーディンガーの波動方程式を用いた量子の世界のエネルギー準位が計算され、その原理が分子軌道法として開花し、コンピュータの進歩により、複雑な分子の構造も決定できるようになったのである。[下沢 隆]
物性化学――物質の性質解明
物質の構造が決定されると、物質の性質を予知し、人為的にある性質をもつ物質をつくりだすことが可能である。物質の性質に注目する研究分野を物性化学という。この研究には構造化学の基礎知識が必要である。測定手段は、構造の決定に用いられるもののほか、電場・音波も用いられる。最近ではこの分野の基礎研究が広く応用面に活用され、わが国の産業の進展に大きく貢献している。たとえば、液晶、電気の部品(半導体やトランジスタ、LSIまでを含む)、記憶合金、セラミックス、各種の膜などが物性化学の成果としてあげられよう。
 物性化学は、熱力学に端を発するが、今日は量子力学・統計力学を加えた量子統計力学が固体論の発展を促し、ここでもコンピュータが活用されて、新物質の開発に力となっている。[下沢 隆]
化学反応論――化学反応機構
物質の変化は、化学的には原子・イオンの組み替えであり、これを総称して「化学反応」という。歴史的には反応物の組成と生成物の組成を比較し、反応の途中経過を類推していたが、今日では反応の途中で生成する反応中間体をとらえ、化学反応を詳細に議論できるようになった。これが化学反応論である。これも物理化学の一分野であり、今日の構造化学は寿命の短い化合物の構造の決定ができるようになったため、反応中間体の分子構造を正確にとらえることができるようになってきた。現在、最短の測定時間は一ピコ秒(10-12秒)であるから、寿命がその程度に短い反応中間体の構造が決定できる。したがって、昔のように反応の前後の化合物から中間体を類推するのではなく、寿命は短いけれど実在の物質として反応の途中を解明することができるようになりつつある。これらの状態は励起状態と総称されており、分子軌道法の計算の進歩に伴って分光学のデータを理論的に立証することも研究対象となっている。つまり、構造化学は、静的な(基底状態の)構造決定から、動的な(励起状態の)分子構造の解明へと進展し、それが化学反応の解明につながっているといえる。[下沢 隆]
『竹内敬人著『分子の形とはたらき』(1978・岩波書店) ▽「物性」編集委員会編『物性研究のための化学入門』(1974・槇書店) ▽好野雄監修・北原文雄著『化学反応論へのアプローチ』(1971・理学書院)』

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世界大百科事典内の物理化学の言及

【化学】より

…その対象がきわめて広範なので,化学をいくつかの分野に分けて考えるのが便利である。最も一般的な分類は,物理化学,有機化学,無機化学,生物化学,応用化学の対象・方法別の5分野への分類である。これは大学の組織や教育カリキュラム,あるいは専門雑誌の分類などにも対応している。…

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