アース・ワーク
1960年代末以降の,広大な自然に人為・人工の痕跡を残す芸術活動の称。ランド・アート(Land Art)とも呼ばれるこの傾向は,美術の商業的な側面に反発し,自然との交感を通した創造的行為を目指す作家たちによって開拓された。ユタ州の湖沼に岩塩や塩,土などを使って巨大な螺旋形を作ったロバート・スミッソン〔1938-1973〕,ネバダ州の二つの台地の間を掘り起こし,40トンもの土を移動させたマイケル・ハイザー〔1944-〕,ニュー・メキシコの平野に400本のステンレス・ポールを立て雷を呼び込もうとしたウォルター・デ・マリア〔1935-2013〕など,そのスケールは壮大である。よりささやかなレベルでは,英国のリチャード・ロング〔1945-〕,デビッド・ナッシュ〔1945-〕,アンディ・コールズワージー〔1956-〕らが,落ち葉や小枝,石などを活用して自然のなかに造形的なインスタレーションを制作し,写真記録として残す活動を展開している。
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